野鳥写真図鑑

チョウゲンボウ

ハヤブサ目ハヤブサ科 全長約33~39cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/6400秒|ISO:1000|露出補正:+1|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

秋冬は全国の河原、草地、農耕地などで見られ、春夏に本州の崖や橋げたなどで繁殖する。メスや若鳥は頭から尾まで茶色で、オスの成鳥は頭部や尾が青灰色。顔の髭のような模様は、ハヤブサ科に共通している。大きさが近いハト類より翼や尾が長く、繁殖期には「キッ、キッ、キッ」と鳴く。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

都市化するための課題はハヤブサ?

ハヤブサ科の見分け方

猛禽類は飛んでいる姿を目にすることが多いので、気づくにも、見分けるにも、飛んでいるカラスやハトを気にかけているとよいでしょう。
ハト類に似て翼の先が細く見えるのがハヤブサ科、カラス類に似て指のように開くのはタカ科です。ハヤブサ科ではカラスほどの大きさがあればまずハヤブサ、ほかはだいたいハトサイズで、ハト類より翼や尾が長く見えるのがチョウゲンボウです。コチョウゲンボウは数少ない冬鳥で、オスはハトより小さくてヒヨドリくらいしかありません。北日本で夏鳥のチゴハヤブサはチョウゲンボウより細長い翼で素早く飛び回り、空中で主に小鳥を狩ります。
チョウゲンボウは頻繁にホバリング(停空飛翔とも言う)をし、急降下で地上にいる獲物を押さえつけるように捕らえます。主食はハタネズミという報告もありますが、ほかにも小鳥や大型昆虫など、地域、環境や季節によってさまざまな生物を獲物にしているようです。

チョウゲンボウ(オス) オスは成鳥になると頭部や尾羽が青灰色を帯びて美しいが、体はメスより小さい。(オスがメスより小さいことは猛禽類に共通)

どこまで都市化する?

1970年代、チョウゲンボウが東京の埋立地で建造物に巣を作り、「猛禽類の都市化」として話題になりました。今では、橋げたの穴やビルの看板の裏でも営巣するようになり、東京都調布市では、駅前のデパートで繁殖した記録があります。
埋立地ではネズミ、調布では近くの多摩川の小鳥など、食物資源に事欠かなかったものと思われます。チョウゲンボウが巣を作る場所は、本来は高い崖でしたが、崖の減少のほか、崩れやすく不安定な崖を避けて、頑丈な橋やビルの隙間に目を付けるようになったのかもしれません。
チョウゲンボウの集団繁殖地として国の天然記念物に指定された長野県中野市の十三崖(じゅうさんがけ)では、繁殖数が激減しました。その原因として、野ネズミの減少やハヤブサからの攻撃が考えられています。都市部でも見られるようになってきたハヤブサは、一回り小さいチョウゲンボウを獲物にすることもあるようです。

チョウゲンボウ ヘリコプターのように空中の1点にとどまる飛び方「ホバリング」をして、獲物を探したり、狙いをつけたりする。
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