競争力の源泉は、積極的な研究開発による独自技術で差別化した製品力と、国際競争力のある最適な生産方式を構築するための絶え間ない革新活動です。
こうして得られた安定した利益を、研究開発に積極的に投じ、再び差別化製品を投入して競争に打ち勝ち発展する、といった理想的な成長サイクルを当社は構築しています。
この成長サイクルを可能にした、強靭な財務体質もキヤノンの競争力の源泉です。
当社は、環境の変化に対応し、競争力の維持・向上を図るために、生産や開発の現場において、ありとあらゆる業務をゼロベースで見直す「経営革新活動」を全社的に展開しました。
とりわけ、生産部門の合理化を図れば原価が低減され、在庫も減り、大きな資金が生まれることから、まず1998年に生産面での革新活動に着手しました。
この生産革新活動を皮切りに、時代にあった最適な生産方法を追求していくなかで、セル生産の導入により、原価率は1996年の59.3%から、2007年には49.9%まで改善しました。
急激な円高とリーマンショックでいったん悪化したものの、その後も原価低減活動を進め2015年には49.1%を記録しています。
足元の原価率は、2018年に販売管理費に計上していた費用の一部を売上原価に組み替えた影響や、為替影響などにより上昇していますが、自動化の対象範囲の拡大や、生産設備も含めた内製化の促進を中心に原価低減活動に取り組み、原価率の改善を目指します。
当社は、生産を他社に依存しない、「自社生産体制」にこだわっています。自社生産体制であるからこそ、製品の差別化と品質改善に加えて、絶え間ないコストダウンが可能となるためです。
こうした蓄積された強い生産技術を武器に、常に時代に即した最適な生産方式に進化させる「ものづくり現場」での革新活動が、当社の強みの源泉となっています。