テクノロジー

世界遺産を映像で遺す世界遺産を映像で遺す

TBS「世界遺産」でキヤノンの8Kソリューションが活躍

世界遺産を映像で後世に伝える

世界遺産の姿を、高精細映像で次世代に残す。常に最高水準の映像クオリティを追求するTBS『世界遺産』。キヤノンの8Kソリューションがその場にいるような臨場感や質感を表現し、より印象的な映像作りに貢献しています。

2021/12/27

世界遺産を最高の映像技術で遺す

TBS「世界遺産」は放送開始から今年で25周年。人類が共有すべき貴重な世界遺産の姿を、テレビを通して人々に伝え続けてきました。「この番組が、放送開始当初から掲げているコンセプト・使命は、世界遺産は人類の普遍的な宝であり、その時々の最高の映像技術を使って記録し、未来に残すということ。失われた世界遺産は実はけっこうあって、たとえ長く残せるものでもいつかは朽ちてしまう。ですから、それを映像で残す、そして今できる一番いい映像で残すことがなによりも大切だと考えています。」とプロデューサーをつとめる小川直彦さんは語ります。
高画質な映像を追求し続ける番組として、「世界遺産」は肉眼を超えるともいわれる8Kカメラでの撮影に挑戦。比叡山延暦寺と知床の大自然を撮影し、地上波での放送に8Kカメラで撮影した映像を入れ込んだ「4K8K特別編」として2020年10月に「比叡山の四季」編、2021年1月に「知床の四季」編を放映しました。

スタッフが妥協のない映像制作を実現できるように、キヤノンが用意したのは、業務用8Kカメラとフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」、そして撮影アングルの幅を拡げる数々の交換レンズでした。


機動力ある8K撮影を実現

「8Kでの撮影ということで、いろいろと大変なことがあるだろうと考えていましたが、カメラがコンパクトでヘリコプターにもクレーンにも載せることができるうえに、全部ひとつのカメラで理想の撮影ポジションへアプローチすることができました。ストレスもなく妥協しない撮影スタイルでできてとてもよかったですね。」とディレクターの日下宏美さんが振り返ります。「スタビライザー付きのヘリコプターに載せた撮影で、比叡山が立体的に見えたのは大きいと思いました。奥に琵琶湖が広がっていて手前の京都の街並みの細かいディテールもリアルに撮れていて、臨場感が8Kはやはり違うなぁと。よく見る夏の雲も、8Kで見ると”体感できる”映像になっていると感じました。」

イメージ

比叡山上空から琵琶湖を壮大に撮影


500年前の光と空気感を再現

イメージ

1本だけろうそくをつけて撮れた映像

キヤノンの業務用8Kカメラは、8K、非圧縮、RAW(現像されていない生のデータ)の撮影が可能です。ダイナミックレンジが広く、撮影後に階調と色調を整えるグレーディング作業において、実際の光景に忠実な臨場感ある映像とすることができます。「世界遺産の建物の魅力的なタイミングは夜だと感じているのですが、比叡山の闇の中に浮かぶ瑠璃堂で照明機材を使わずに1本だけろうそくをつけて、500年前の光と空気感を再現したいという狙いを8Kカメラが掴みとってくれました。明るいところも大事ですが、暗部に落ちていく階調が微妙に出てもらえないと画の説得力や良さが出てきません。」と日下さんは語ります。


肉眼に近い映像が撮れた

イメージ

知床の紅葉を細かい枝ぶりまでリアルに撮影

知床編で撮影をした矢口信男さんも、「ハイビジョンから始まって4Kになり8Kになって実際に撮影してみるとフレームの中に見える空間の解像感が全く違うんですよね。これはカメラマンとしての自分の喜びでもあるし、テクノロジーの進化の凄さを感じます。ダイナミックレンジが広いということは色の階調がものすごく出るということなんですが、特に紅葉とか海の夕日とか朝日とかグラデーションがあるようなシーンは美しく再現でき、知床の紅葉の細かい枝ぶりまで階調がはっきり出たのは印象的でした。使う現場の空気感や湿度とか温度とかまでを含めてリアルに撮影したいと思っていますが、かなり自分の眼に近いものが撮れるようになったと思います。」と語ってくれました。


扱いやすい操作性。

矢口さんは現場でのシステムの扱いやすさに感銘を受けたといいます。「現場では、アングルを決めるのに場所を変えてカメラやレンズ、収録機材を持ち運ぶのですが、撮影の時には光ケーブル1本つなぐだけで、RAWでの撮影ができるというのは、カメラマンをやってきた人生の中でははじめての経験で、これが今の時代のテクノロジーかと思いました。また、CINEMA EOS SYSTEMの「EOS C300 Mark Ⅱ」というキヤノンのシネマカメラの操作性はものすごくよくできているのですが、8Kカメラもダイヤル操作とかジョグダイヤルとか全く同じにできていて、頭で考えるより直感的に手の中で操作することができて、ものすごく使いやすかったですね。」
知床では、業務用8Kカメラとミラーレスカメラ「EOS R5」の大小2つのカメラで8K撮影が行われました。「EOS R5」では、ドローンに載せて鳥の目線のようなアングルで撮影したほか、簡易的な防水ケースに入れて水中で鮭が遡上する様子の撮影を行いました。グレーディング耐性の高いCanon Logで12bit RAWの記録も可能です。広いダイナミックレンジ・広色域のHDR PQ方式に対応し、HDRディスプレイへの出力時には、より見た目に近い色やコントラストを再現できます。さまざまな用途にあわせて業務用8Kカメラとミラーレスカメラを使い分けできる点で「一つのカメラパッケージとしてかなり完成されていると感じました。」と矢口さんは語ります。

光ケーブル1本でRAW撮影を実現

ドローンにカメラを載せて鳥のような目線で撮影

ソリューショントータルとしての実用性

システムトータルでの8Kソリューションとして、レンズの性能も欠かすことはできません。「ズームレンズの弱点としてズーム撮影をしているときに、解像感をずっと保つことができないというのがあるのですが、キヤノンのシネマズームレンズは光を取り込む範囲が大きくて解像感を失わずにきれいに撮れるのが良いところですね」と矢口さん。さらに、ソリューションとして、画質だけでなく、制作の手間や面倒も減らしていくことも重要です。プロデューサーの小川さんは、「タイトなスケジュールで進行している中で8K撮影映像を盛り込もうとするとデータが膨大で処理に時間がかかります。キヤノンのシステムはプロキシの仮データを使って内容確認して、使用する8Kデータだけをじっくりグレーディングをして仕上げていくと言うワークフローができるのでそれが非常に効果的に機能しました。」とソリューションとしての有用性も語ってくれました。
これから、ますますの普及が予測され、肉眼を超える映像として期待が高まる8Kの世界。キヤノンの8Kソリューションは進化を続け、より美しく高精細な映像で感動を未来に伝えていきます。

「プロの想いに応える技術」内の記事を見る