テクノロジー

しくみと技術デジタルシネマカメラ

プロフェッショナルの映像撮影を支える

映画やドラマ、ドキュメンタリー、コマーシャル撮影といった映像のプロフェッショナルの現場で高品位な映像を撮影するデジタルシネマカメラ。画質と品質はもちろんのこと、優れた機動性や、拡張性などを備え、映像表現の可能性を大きく拡げます。

2022/03/07

デジタルシネマカメラのしくみ

デジタルシネマカメラは、被写体を撮像し、映像信号に変換する「撮像部」、映像をメモリーに記録する「記録部」を搭載するカメラ本体と、撮影手法に応じてカメラ本体に取り付けて使う「交換レンズ」や「アクセサリー」で構成されます。

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キヤノンのデジタルシネマカメラの技術

プロフェッショナルの映像撮影に対応するキヤノンの「CINEMA EOS SYSTEM」。デジタル一眼レフカメラで培ってきた「EFレンズ」に加え、映像制作に最適に設計された「EFシネマレンズ」を核に、レンズ交換式デジタルシネマカメラ、アクセサリーで構成され、高品位な映像はもちろんのこと、優れた機動性や拡張性を備えています。

高画質を可能にする大型CMOSセンサー

映画制作用デジタルシネマカメラの世界では、より印象的な表現が可能なフルサイズCMOSセンサーへの期待が高まっています。
キヤノンは、広い諧調性を実現するフルサイズCMOSセンサーを開発し、デジタルシネマカメラの最上位モデル「EOS C700 FF」、小型化および拡張性を追加した「EOS C500 Mark II」に搭載。フルフレームならではの浅い被写界深度と広いダイナミックレンジを実現し、高画質な映像を撮影できます。

       フルサイズCMOSセンサー

また、映画フィルムの1コマの大きさに近いスーパー35mm相当サイズの4Kスーパー35mmDGO(Dual Gain Output)センサーも開発。キヤノン独自の新開発イメージングシステムにより、高ダイナミックレンジ、低ノイズなHDR撮影を可能としています。

       4Kスーパー35mmDGO CMOSセンサー



高速かつスムーズなピント合わせを実現するデュアルピクセルCMOS AF

「デュアルピクセルCMOS AF」は、すべての画素が撮像と位相差オートフォーカス(AF)の両方の機能を備えるCMOSセンサーによって実現したAF技術です。一つひとつの画素は、独立して光を取り込む2つのフォトダイオードで構成され、撮像信号と同時に位相差AFに利用できる信号を出力します。 これにより、高速・高精度なAFはもちろん、動画撮影に適した滑らかで追従性の高い繊細なAFを実現しています。



デュアルピクセルCMOS AFのしくみ

さらに、2020年に発売した最新機種では、ディープラーニング技術を用いて開発した画像認識技術「EOS iTR(Intelligent Tracking and Recognition) AF X」を搭載。顔検知AFにおいて、頭部の検出アルゴリズムを新たに開発することで、これまで難しかった横向きや後ろ姿でも追尾の信頼性を大幅に向上しました。



ディープラーニング技術を用いて開発した画像認識技術「EOS iTR AF X」のイメージ

広い階調表現を実現するCanon Log

プロフェッショナルの映画制作現場では、「Log」という映像記録方式が採用されています。「Log」はフィルムで撮影された広いダイナミックレンジの素材をデジタル化するために規格化された「Cineon」と呼ばれるLog形式を由来とし、キヤノンでは初代EOS C300開発時に、800%のダイナミックレンジを持つCanon Logを搭載しました。その後、センサーのダイナミックレンジと映像エンジンの進化と共に1600%(※)のダイナミックレンジを持ち10-12bitの階調表現に対応したCanon Log 2/Canon Log 3を開発してきました。


映像制作者がLogを採用する最大のメリットは、通常のビデオガンマでは再現できない広いダイナミックレンジをデジタルで扱えることです。キヤノンのLogフォーマットは、黒つぶれや白とびが起きにくく、その再現域の広さにより、これまでのビデオカメラでは不可能だったフィルム撮影のようなダイナミックレンジをもつ撮影が可能になります。たとえば、手前の明るい被写体に露出を合わせた状態でも、背景の山並みなどのハイライトまでもディテール情報がしっかりと記録され、人間が見たままに近い、自然な映像表現ができるようになりました。


(※)Canon Log 2については、「EOS C300 Mark II」、「EOS C700」、「EOS C700 GS PL」、「EOS C700 FF」を用いた場合の最大ダイナミックレンジ (2018年12月27日 現在)


ワークフローとの高い親和性

Logを使ったワークフローは、フィルムを超えた表現力を生み出すことを可能にしました。色再現性の広い撮影後の素材データを用いて柔軟にハイライトやシャドウなどの階調や色再現を調整し、表現者の意図通りの作品に仕上げる「カラーグレーディング」が可能になっています。


CANON LOG TECHNICAL SITE

https://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/



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