ボリュメトリックビデオシステム
誰も見たことがない映像体験を実現する
その場にいるような映像体験を可能にしたキヤノンのイメージング技術が 最先端のスポーツ観戦やエンターテインメント体験を提案します。
2023/06/29
スポーツ観戦を劇的に変化させる革新技術
固定されたカメラやワイヤーカムによる限られた視点からの映像ではなく、競技場内のあらゆる位置から好みの角度で映像を見られる自由視点映像。グラウンド内にいる選手の見ていた光景の再現や、同じシーンをさまざまなアングルで見るなど、自由自在に視点を設定できます。さらには、映像をスローモーションにしながら視点を自由に変更するなど、視点と時間を思いのままに操作することが可能になりました。スポーツ観戦を劇的に変化させる革新的技術が現実のものになったのです。
その映像を生成するしくみは、映像撮影の未来形ともいえます。場内を周回するように設置された専用カメラで撮影した映像を3Dデータに変換してサーバーに蓄積します。仮想カメラの位置や動きを指示すると、3Dデータのなかから、カメラアングルに応じた映像にレンダリング。動画としてアウトプットし、視聴できるようになります。
創業時から一貫して培ってきた光学技術や映像技術に加えて、ネットワーク伝送技術、ユーザーインターフェースなど、先端技術をキヤノングループ内で開発。この技術は映像制作や放送のワークフローを進化させる力を秘めています。キヤノンの各部門から選ばれた開発者たちが、全社横断プロジェクトとして集結し、それぞれが持つ技術を高度に融合させることで、ボリュメトリックビデオシステムは実現しました。
時代に先駆け、さらなる高みをめざした継続的イノベーション
キヤノンは、ラグビーやバスケットボールなどのスポーツ分野にボリュメトリックビデオシステムを提供。海外プロスポーツの試合では、実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を、競技場内の大型ディスプレイに表示するとともに、テレビ局にも展開しました。上空から試合を俯瞰したり、フィールドのなかで選手といるような没入感を楽しめるなど、ボリュメトリックビデオシステムは新たなスポーツ観戦の形を開拓しています。
動きの速いスポーツのシーンから正確な3Dデータを作成するためには、すべてのカメラが同じタイミングで撮影をスタートすることが必要です。たった1台のカメラでもズレが生じると、正しいデータに仕上げることはできません。この課題は、開発当初から想定していたため、多数のカメラを完全に同期して撮影をスタートさせ、コントロールするアルゴリズムを開発することによって解決しました。また、自由視点映像の生成には膨大なデータ処理を瞬時に行う必要があるため、並列分散画像処理など、高精細な映像を素早く生成するための技術開発が続いています。
ボリュメトリックビデオシステム(03分14秒)
ボリュメトリックビデオシステムは、スポーツの領域に加えてエンターテインメントの分野においてもまったく新しいコンテンツ制作を可能にしています。もともとスポーツを対象に研究開発を行ってきたため、広範囲に複数の被写体が存在するようなパフォーマンスでも映像を制作することができます。実物のカメラやフォトグラファーがステージに存在しないことで、さまざまなカットでカメラが映りこむことなく、自由なカメラワークを実現します。
キヤノンは、2020年に3Dデータコンテンツの撮影から編集までをワンストップで行うことができる「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」を開設しました。4Kカメラと独自の画像処理技術により、撮影とほぼ同時に高精細な映像や3Dデータを生成でき、映像のライブストリーミング配信やコンテンツ制作期間の短縮を実現しています。今後もキヤノンは、場所の壁、時間の壁を取り払う、これまでにない価値の創造につながる技術開発を続けていきます。
ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎の撮影エリア