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高画質が求められるグラフィックアーツ向けや隆起印刷も実現

デジタル商業印刷

あらゆるメディアへの対応を進めながら、今までにない高画質を実現。多様化する商業印刷のニーズに、デジタル印刷にしかできない多様なアウトプットで応えています。

2019/05/16

印刷業界で急増する多品種小ロット印刷へのニーズ

出版物やパンフレット、ダイレクトメール、カタログなど、商業印刷といわれる分野で急増しているのが、多品種小ロット印刷へのニーズです。たとえばダイレクトメールでは、多くのお客さまに同じメッセージを発信することが一般的でした。しかし最近ではデータを活用したデジタルマーケティングにより、一人ひとりの興味に合わせて印刷するメッセージをカスタマイズし、顧客満足度を高めています。
これまで商業印刷で使われてきたオフセット印刷は、同じ内容を大量に印刷するケースでは利点があるものの、版となる薄いアルミ板(以下、刷版)を必要とするため少部数の印刷ではコスト効率が悪く、個別印刷への対応も容易ではありません。
このような背景から注目を集めているのがデジタル印刷です。デジタル印刷は刷版を必要としないため、短納期での小ロット印刷や、1枚ずつ印刷内容を変えるバリアブル印刷で優位性を発揮します。キヤノンは、高い品質、生産性、安定性でデジタル印刷市場のニーズに応えていきます。

インク吐出の高度な制御で1200dpiの高解像度を達成

キヤノンでは、グループ会社のキヤノンプロダクションプリンティング(以下、CPP)(※)も含め、お客さまの目的に応じた最適なソリューションを提供するべく製品ラインアップを拡充してきました。その中で、高品位カタログやプレミアムダイレクトメールなど高画質が求められるグラフィックアーツ市場に向けて開発された最新の連帳プリンター(ロール紙に高速印刷するプリンター)が「ProStream 1000」です。
このプリンターでは、インクを印字する前に「カラーグリップ」と呼ばれる最新のベースコート剤を塗布することで用紙表面を整え、インクのにじみを防ぎます。
これにより従来の技術では難しいとされていたオフセットコート紙(大量印刷向けの用紙)をはじめ、幅広い紙への印刷を可能にしました。また独自のポリマー顔料インク(加熱冷却により強固な膜を形成するポリマー成分を含んだインク)により摩擦力強度を高め、鮮明な色づくりを実現。吐出するインク量を適切にコントロールする技術を兼ね備え、オフセット印刷に匹敵する1200dpiの高解像度印刷にも対応しています。
さらに、用紙搬送ベルトを使わずに「エアーフローテーション」を用いてインクを乾燥させる「非接触乾燥技術」は、用紙への負荷を最小限に抑え、さまざまなメディアに高品位な印刷を実現します。これら独自に開発した「カラーグリップ」や「非接触乾燥技術」により、用紙へのストレスを低減し、紙の風合いや光沢を損なうことなく高品位な印刷を実現しました。

(※)
2020年にオセから社名変更。2010年にキヤノングループに加わり、オランダを本拠に業務用プロダクションプリンターで高いシェアをもっています。

キヤノンのプリンターが持つ多種多様なテクノロジー群

この他にもキヤノンでは、書籍、マニュアル、帳票などを高速で印刷する連帳プリンターやカットシートプリンター、図面やポスター、看板などに対応する大判インクジェットプリンターなど、さまざまなニーズに対応する商業印刷用プリンターを展開しています。
また、高画質と高い耐久性、生産性を実現するだけでなく、幅広いメディアにも対応する独自開発の「UVジェル(色域や環境性能に優れたジェル状のUV硬化型インク)」インクや、凹凸まで表現できる隆起印刷(下記記事を参照)といったテクノロジーもキヤノンの強みです。今後もグループ内でのシナジーを深め、多様化するデジタル印刷のニーズに応え続けていきます。

3300年前の古代エジプト王が眠る墓の装飾をCPPの隆起印刷技術により復元

古代エジプト王が眠る「王家の谷」で、最大規模を誇る第19王朝ファラオであるセティ1世の墓。1817年に発見されて以降、墓の劣化が進んでいました。古代エジプト文化を復元するため、2016年にCPPの社会貢献活動の一環としてNPO団体が3Dで内部を撮影したデータを利用し、墓の壁、柱、石棺の表面のモールドを実物大で制作。最大で厚さ15mmのレリーフを、「UVジェル」インクを積層させるCPP独自の隆起印刷技術によって忠実に再現しました。

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復元されたレリーフが施された壁や柱

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隆起印刷技術によるレリーフの再現

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