エナガ
スズメ目エナガ科 全長約13.5cm
九州以北の低地から山地の林に生息。全長がスズメより小さいうえに、その半分近くを尾羽が占め、体重は10gに満たない。「チー」という細い声はシジュウカラ科の小鳥たちと似ているが、「ツリュリュ」という小声は独特。
※鳴き声が再生されます。
都会進出で巣作りにひと苦労?
群れを導くリーダーか?
シジュウカラやヒガラなどのシジュウカラ科の小鳥は、秋冬に、違う種が集まって群れる「混群」になります。シジュウカラ科の混群には、しばしばエナガやコゲラなど科が違う鳥たちも混じるのですが、エナガは混群の先頭に、コゲラなどキツツキ科の鳥は後方に続くことが多いようです。はてさて、エナガは混群のリーダーなのでしょうか?
日本最少の鳥は全長10cmのキクイタダキとされますが、エナガは日本で最もくちばしが短い鳥で、木々の枝に産み付けられた虫の卵など、非常に小さなものを食べているようです。つまり採餌が早く、次々に摘んでは食べて移動するので、移動速度は速くなります。一方、キツツキ科の鳥はコツコツと穴を掘りながら虫を探すため、採餌に時間がかかり、シジュウカラ科の小鳥たちより後になってしまうと考えられます。
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都会派は巣作りが大変?
今や街中や住宅街でも普通に見られるキジバトやヒヨドリは、かつては「山の鳥」でした。近年では、コゲラ、メジロ、ツミ、ハヤブサなども山から都会に進出してきたと言えます。エナガも、なぜか一部が東京や横浜など、都市部の公園や緑地で繁殖するようになっています。
ただ、巣作りでは苦労しているかもしれません。エナガはコケ植物を集めて球形の巣を作り、その外側にウメノキゴケのような地衣類を貼り付ける習性があります。ところが、ウメノキゴケ類は環境悪化の指標生物とされるほど自動車の排気ガスに弱いため、空気が悪い都市部にはあまりないのです。そのためか、ウメノキゴケの代わりにスポンジを貼ったエナガの巣を見た人もいるそうです。
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