野鳥写真図鑑

ジョウビタキ

スズメ目ヒタキ科 全長約14cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/250秒|ISO:200|露出補正:+1|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:佐賀県

庭や公園にも飛来する冬鳥で、「ヒッ、ヒッ」と澄んだ声で鳴き、時折「カッカッ」とも鳴く。色が見分けられない時や地味なメスはスズメと思って見過ごされやすいが、くちばしは細く、姿勢はスズメより縦で、お辞儀をした後、尾を小刻みに震わせる。

身近な小鳥ではもっとも美しいといわれるオスだが、電線やアンテナにとまっていると、逆光で色はわからないことが多い。

地鳴き
さえずり

※鳴き声が再生されます。

日本では冬鳥、韓国では?

冬鳥がさえずって、子育て?

日本野鳥の会「見つけて渡り鳥」では、ジョウビタキなどの飛来情報が掲載されています。冬鳥としては早く、10月には姿を見せます。飛去も早めで、桜が咲く前にいなくなるのが普通ですが、近年、初夏にさえずりが聞かれたり、巣やひなも見つかって話題になりました。実はお隣、韓国では初夏に繁殖しているので、緯度からすれば、さほど不思議ではありません。日本に飛来する冬鳥の多くはロシア極東地域で繁殖していると考えられる中、ジョウビタキはあまり高緯度ではなく、中国や朝鮮半島で繁殖します。中国北部では冬を越しませんが、朝鮮半島では冬も見られます。韓国では1年中見られるため留鳥と呼べますが、実際には、春夏は韓国、秋冬は日本などに渡る「夏鳥ジョウビタキ」や春夏は中国、秋冬は韓国などに渡る「冬鳥ジョウビタキ」もいることでしょう。

ジョウビタキ 雌雄共通の特徴は翼の白斑。地味なメスも、腰や尻、尾の下側はオスの腹のような色をしている。いつも1羽でいることも、スズメとは違う。

小鳥なのに群れないわけ

小鳥は春夏にペアで子育てし、秋冬はペアやファミリーの関係がなくなって、群れになるのが普通です。しかし、ジョウビタキは群れにはなりません。秋は色づいた実を食べることもありますが、その後はモズと同じく越冬する虫などを食べるからです。

資源量の多い植物質の食物の場合、1羽が見つければそれを群れで食べることができます。また、1羽が危険に気づけば、群れ全体が危険に気づくことができます。しかし、冬は少ない動物質の食物をめぐって争いが生じてしまうので、1羽ずつ自分のスペースを確保したほうがよくなります。

ジョウビタキの「ヒッ、ヒッ」は、非繁殖期に雌雄ともに出す声なので地鳴きとされますが、冬を越すためのなわばり宣言のような意味があるかもしれません。秋は盛んに鳴くものの、それぞれのなわばりが落ち着く冬には静かになるからです。

ジョウビタキ ひらけた環境を好むので、姿は目にしやすい。よく目立つところにとまっているが、地上の越冬昆虫などを見つけると舞い降りて食べる。
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