カッコウ
カッコウ目カッコウ科 全長約35cm
5月中旬頃、原野や明るい林に飛来する夏鳥。オスの声はその名のごとく「カッコウ」だが、メスは「ピピピピ」と鳴く。草地や林縁の小鳥に卵を預けるが、仮親になる鳥たちとともに、近年、減少が心配されるようになった。
※鳴き声が再生されます。
他人任せも楽じゃない?
子育てするカッコウもいる
日本で繁殖するカッコウ科の4種(カッコウ、ホトトギス、ツツドリ、ジュウイチ)には、他種の巣に卵を産み込む<托卵(たくらん)>という習性があり、托卵相手に子育てまでしてもらいます。世界には、カッコウ科でも北米のミチバシリ(ロードランナー)のように自分で子育てする種もいる一方で、カッコウ科でなくても托卵する鳥がいます。 また、ムクドリやカモ類では同種の巣(ムクドリなら、同じムクドリの巣)に卵を産み込むことが知られていて、種内托卵と呼ばれています。
生存率が低い野生の命にとって、子孫を残すことは最重要の使命のはず。どうしてそれを他人任せにしてしまう鳥がいるのか? 不思議ですが、同種の巣に卵を預けることから始まって、違う種にまで卵を預ける習性が進化したのかも知れません。
托卵の成功率は高くない
カッコウはかつてホオジロへ托卵することが多かったようですが、近年、オナガやオオヨシキリなど複数の托卵相手が知られています。ホオジロの親鳥がだまされないようになって、相手を変えるようになったのかもしれません。一方、ホトトギスはウグイスに托卵しますが、ホトトギスが増えて、ウグイスが減ったというような話は一切ありませんので、托卵の成功率が高くないことは間違いないでしょう。
日本野鳥の会の支部(札幌支部や郡山支部)などがカッコウの調査を長年続けていますが、減少の要因ははっきりわかっていません。冬を越す東南アジアの環境の変化、托卵相手の鳥の減少、虫の減少なども関係していると思われます。