野鳥写真図鑑

コゲラ

キツツキ目キツツキ科 全長約15cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/640秒|ISO:100|露出補正:0|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(フルサイズ)|撮影地:長野県

もっとも身近なキツツキとして庭や公園にもいるが、世界的には日本周辺しか分布していない。大きさはスズメほどしかなく、褐色系で幹にいることが多いので見過ごされやすいが、「ギー」という声は独特でわかりやすい。
葉が茂っていると見えにくいが、スズメほど人を警戒しない。こちらが先に気づいて脅かさないようにすれば、近くでも観察できる。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

コツコツと森の多様性を支える

穴を掘られる木の秘密

1980年代以降、東京など都市部でも見られるようになってきました。理由はよくわかっていませんが、木が育ち、弱った木が増えたことはプラスになったように思われます。キツツキの仲間は細い木、若い木では暮らせません。
主食になるカミキリの幼虫などは幹の中にいる虫で、それらは大きな木や古く弱っている木ほどたくさんいるためです。また、子育てのための巣とねぐらは、木の幹にコツコツと穴を掘って作るのですが、細い木、若い木では掘りにくいことでしょう。
元気よく見える木に穴を空けることもありますが、そこを掘り進められるということは、その部分は菌類が入り込んで腐りかけていることが多いはずです。

コゲラ オスは、眼の上後方に小さな赤い羽毛があるが、常に見えるわけではない。興奮するなどして頭の羽毛が立つと見えるようになる。

多様性と持続可能性の立役者

キツツキの仲間が枯れた木に穴を掘ることは、森の生物多様性に貢献しています。アカゲラやアオゲラではムクドリサイズからハトサイズにおよび、より大きな穴をあけますが、それらはシジュウカラやゴジュウカラのような小鳥だけでなく、フクロウの仲間やネズミやリスなどの哺乳類にも利用されます。
また、森が持続するには、キノコやカビの仲間、菌類と呼ばれる分解者が貢献します。中でもシイタケ、カワラタケのような腐朽菌は倒木を土に戻す役割を担っています。落ち葉はバクテリア(細菌)によって、木は菌類によって分解されることが、生産者である植物の基盤となる土壌を育むのです。

アオゲラ 写真はアオゲラ。アオゲラは、コゲラに次いで身近なキツツキ。公園などの緑地にいることもあるが、ムクドリサイズ以上あるので、大きな木がないと巣穴やねぐらを掘れない。
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