オナガ
スズメ目カラス科 全長約36cm
本州の中部以北の山林から住宅地で、通年見られる。翼と尾の淡い青色は、逆光や遠くからではわかりにくいが、黒いベレー帽をかぶったような頭、長い尾は遠目でもわかりやすい。群れでいることが多く、しわがれ声でよく鳴き交わす。
※鳴き声が再生されます。
おしゃれなのにしわがれ声
紳士か? 美人か?
約1万種いる鳥類は、30ほどの目から、さらに200ほどの科とよばれるグループに分類されます。最大のグループはスズメ目で、半数以上の科や種が含まれます。小型で、繁殖期に雄がさえずることが特徴であるスズメ目。その例外が、オナガが属しているカラス科です。カラス科は世界で130種、日本で11種います。なかには大型の種もいて、オスはさえずりません。
オナガは上品で清楚な姿に見えるので、よく「鳴かなければいいのに…」と言われます。カラス科らしい、しわがれ声で、「ゲーイ」とか「ゲーイキュキュキュ」と鳴きます。「だみ声紳士」や「悪声美人」とも言われますが、カラス科なので姿や声では雌雄が区別できません。卵を抱くのはメス、求愛給餌でプレゼントする側がオスなど、行動の違いから推測します。
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離れた分布域の謎
オナガは、関東地方では庭や公園でも見られます。ただし、群れでなわばりを持って暮らしているようで、群れの行動圏からはずれると、関東であってもまったく出会えません。場所によって、「増えた」「減った」とよく話題になるのは、行動圏が常に一定ではないためと思われます。行動圏に入った場所では群れで見られるので増えたと思うでしょうし、群れの行動圏から外れれば減ったと感じるのでしょう。
オナガの分布域はアジア東部のほか、ヨーロッパの西端、イベリア半島です。同じカラス科のカササギは北半球に広く分布しているので、カササギの勢力に負けて離れた分布域になったという説もありますが、その理由はよくわかっていません。
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