野鳥写真図鑑

サシバ

タカ目タカ科 全長約47~51cm

絞り:F8|シャッタースピード:1/400秒|ISO:400|露出補正:0|焦点距離:1000mm相当(500mmにx2テレコンバーターを使用)|一眼レフカメラ(フルサイズ)|撮影地:沖縄県

ハシブトガラスより小さく、ほぼハシボソガラスほどの大きさの猛禽類。日本では主に夏鳥として春に飛来し、両生類や爬虫類を主食とする。水田で狩りをし、その周囲の林に営巣することが多い。近年、水田とともに減少し、絶滅危惧種とされた。「ピックイー」と鳴くその声を、「キッスミー」と聞く人もいる。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

渡るタカの秘密

日本でも冬を越せる?

主食であるヘビやトカゲ、カエルなどが北海道では少ないためか、サシバが繁殖する北限は青森県まで。また、冬季は獲物であるヘビなどの変温動物が冬眠してしまうため、サシバは秋になると南に渡ると考えられます。ところが南西諸島では、サシバが南に渡らずに冬を過ごすところもあります。そこでは両生類と爬虫類の種が多いだけでなく、冬眠をせず冬でも活動しているからです。南の島々は、本土とちがう生物が分布していることで注目されますが、同じ種でも気候条件によってくらし方が違うこともあるのです。
日本の生物多様性は、北海道と南の島を知ると実感できます。例えばキセキレイやイソシギは北海道では夏鳥で、沖縄では冬鳥になります。キセキレイやイソシギは留鳥とされ、1年中同じところにいると書かれている図鑑もありますが、移動しているものが少なくありません。

サシバ 猛禽類の羽には縞模様があるが、上空を飛んでいると、細部まで見えない。体型や飛び方をカラスと比べるのがよい。

渡るタカに気づくには?

体が大きくない猛禽類も多いことは、オジロワシで解説しました。中型のサシバでも、上空を飛んでいれば大きくは見えません。飛んでいるタカやハヤブサの仲間に気づくには、日ごろからカラスをよく見て、飛び方の違いを知っておくとよいでしょう。
岬や山などサシバが集中して渡る名所でなくても、秋晴れの空には、町の中でも南や西に飛んでいくサシバを見ることがあります。ハヤブサで解説したように、はばたきがカラスより浅く、速いことがタカやハヤブサの特徴ですが、はばたかずに滑空する時間が長いこともよくあります。また、サシバに限らず、タカやハヤブサの仲間の多くはカラスより細長い翼をしています。例外はサシバとサイズが近いオオタカで、カラスによく似た、太く短めの翼をしています。森の中で狩りをするので、翼が長いと邪魔なのかもしれません。

サシバ 渡りの名所とされる岬や山では、秋に南を目指すサシバが集まって旋回する光景が見られる。その数が多いときには、蚊柱ならぬ、鷹柱と呼ばれる。
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