シロハラ
スズメ目ヒタキ科 全長約24cm
冬鳥で、大きさや体型、動作は近縁のツグミに似ているが、腹は白っぽい(ツグミは斑模様がある)。よく茂った緑地の地上にいることが多く、ツグミのように開けたところに出てくることは少ない。「シーッ」と細い声や、「コッコッコ」とけたたましい声で鳴く。
腹が白っぽいことが名の由来。写真のように開けたところで、じっくり見られる機会は多くない。写真はオス。
※鳴き声が再生されます。
暗い地面で木の葉返し
日陰者にも配慮
飛んで逃げるときによく鳴くのですが、こちらが先に気づくためには、落ち葉をどけるガサゴソという音に気をつけているとよいでしょう。ウグイスと同じく日陰者なので、ウグイスのところで解説したように、「手入れ不要も必要」な鳥の例です。
下草を刈ることで育つ植物もあるし、ムクドリやハクセキレイのように刈ったところを好む種もいます。その一方で、暗い茂みや落ち葉の下で冬を越す虫や、それらを食べるシロハラやルリビタキなどは冬を越せなくなるのです。公園や敷地の下草を目的に応じて刈る場合でも、部分的に刈らずに残す場所を工夫することで、多様な生物に配慮することが可能です。
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西と東の違い
狭い日本と言うことなかれ、野鳥の分布だけでも、島や南北、東西によってさまざまな違いがあります。シロハラは比較的西日本で多く冬を越しますが、コハクチョウ、セグロカモメ、ヒレンジャクなども同じような傾向があります(オオハクチョウ、オオセグロカモメ、キレンジャクは東日本に多い)。数が多い西日本の地域では時々、開けたところに出てくるシロハラもいます。生息密度が高いと、好みの住みかからはみ出してしまうものがいるのかもしれません。
長崎県(対馬)や島根県では美しいさえずりが聞かれることがあり、繁殖記録まであります。シロハラの繁殖地は高緯度地域ではない(ロシアのウスリー地方、中国や朝鮮半島)ので、今後も日本での子育てが見つかるかもしれません。
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