トビ
タカ目タカ科 全長約59~69cm
海岸や湖沼近くに多いが、山地でも市街地でも飛んでいる。1年を通じて普通に見られるが、南西諸島では少ない冬鳥。翼を広げると、メスでは160cmを越える。タカ科の原則で、オスよりもメスのほうが大きい。また、タカのなかまは1羽かペアで行動するが、トビはタカ科の例外として、群れることもある。
※鳴き声が再生されます。
もっとも身近なタカのなかま
タカなのに軽んじられるワケは?
タカの仲間は数が少ない上に警戒心が強く、遠くを飛んでいる場合が多いものです。タカの存在に気づくには、日ごろから、カラスを意識しているとよいでしょう。よく滑空する、羽ばたき方が違う(カラスのはばたきは深く緩やか)などで、タカとわかります。タカのなかでも、数が多く、見分けやすいのがトビ。カラスより大きく(タカ科やハヤブサ科はカラスサイズか、それ以下が多い)、比較的スピードがなく、旋回していることが多いことも、観察しやすい点と言えます。
トビは、あまり積極的な狩りをしません。数が少なくないこと、群れることにも関係していますが、弱ったものや死んだものを食べることが多く、「トンビがタカを産む」ということわざがあるように、ランクが低く見られる要因にもなっています。
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「トビ」か「トンビ」か?
生物の種名は、世界共通の学名以外は俗名とされています。トビをトンビと呼んでも、間違いではありません。野鳥の英名にもさまざまあり、アメリカとイギリスで違うものもあります。ただ、日本において鳥の名は、日本鳥学会による日本鳥類目録で使われている種名を標準和名とするのが慣例なので、この記事でも日本鳥類目録に沿って「トビ」としています。
トビの特徴はその鳶色にあり、他のタカより、比較的濃い褐色をしています。翼下面に白斑があるのも特徴とされますが、もっともわかりやすいのは尾です。長めで角ばって見える尾に注目すれば、遠くても、逆光でも、トビと識別できます。子どもの頃、トビの尾は三味線のばちのような形をしていると教えられ、納得したものですが、今の世代には通じるでしょうか?
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