野鳥写真図鑑

ヤマガラ

スズメ目シジュウカラ科 全長約14cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/160秒|ISO:400|露出補正:0|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

低地から山地の常緑広葉樹林に多いが、まとまった緑地があれば公園でも見られる。ただし、日本以外では南千島、朝鮮半島南部や台湾のみに生息。枝先で虫や木の実を食べ、樹洞にコケ類を運び込んで巣を作る、秋冬は他種とも群れになるなどは、シジュウカラと同じ。さえずりは、シジュウカラよりスローテンポ。

さえずり
地鳴き

※鳴き声が再生されます。

日本各地で見られるが、日本近辺にしかいない

声を聞き分けるには?

聞き分けるコツは、見分けるコツと同じで、「知っている鳥と比べること」です。ヤマガラが属するシジュウカラ科(シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、ハシブトガラ)の声は、耳にする機会が多いシジュウカラを基準に比べてみましょう。
シジュウカラのさえずりは「ツーピ」か「ツツピー」を繰り返します。ヤマガラは、これに比べ比較的ゆったりしたテンポで、「ツンツンビー」、ヒガラは早口で「ツピ」あるいは「ツツピ」を繰り返します。
ヤマガラの地鳴きは、「スィー」とシジュウカラの「チー」よりハスキーな感じです。警戒時などに「ビービー」と濁った声も発しますが、シジュウカラは濁った声を伸ばすことはありません。
なお、種を推測するには環境もポイントで、住宅地ならシジュウカラ、高山ならヒガラです。ヒガラは低山にもいますが、針葉樹がない場所にはいません。(その他のシジュウカラ科では、コガラは標高の高い落葉樹林に多く、ハシブトガラは北海道のみ)

ヤマガラ(幼鳥) シジュウカラ科で腹が赤褐色をしているのはヤマガラだけだが、初夏に見られる幼鳥は赤味がないので、他の種と間違えやすい。

亜種による違い、種の違い

エナガでは北海道で見られる亜種シマエナガを紹介しましたが、ヤマガラは南の島々に固有の「亜種」がいて、8亜種にも区分されています。なかでも、三宅島など伊豆諸島南部にいる亜種オーストンヤマガラは、同じヤマガラとは思えないほど濃い色彩をしています。
樋口広芳さんの研究によると、亜種オーストンヤマガラは、北海道から九州にいる亜種ヤマガラより産卵数が少なく、ひなの自立が遅いなどの違いがあるそうで、島では食物資源が少ないことや天敵が少ないこととの関連が考察されています(少なく生んで、しっかりと育てたほうが得策らしい)。
ヤマガラという種に共通した習性としては、貯食があります。どの亜種でも木の実を蓄える貯食という行動をしますが、同じ科でもシジュウカラやヒガラには見られない行動です。

オーストンヤマガラ 伊豆諸島南部で見られる本亜種は8亜種のなかで最も色が濃く、繁殖習性の違いが研究されている。
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