ユリカモメ
チドリ目カモメ科 全長約41cm
カモメの仲間は似た種が多く、専門家でも種を同定できないものもいる。ユリカモメは赤いくちばしと足が特徴的で、わかりやすい。水辺があれば、秋冬は身近な場所でも見かけられる。成鳥はしわがれ声だが、若鳥は声変わりが遅いようで、冬の間は「ミー」とかわいらしく鳴く。
成鳥
若鳥
※鳴き声が再生されます。
細長い翼のわけは?
夏なら「ネコ」、内陸なら「ユリ」
種を見分けるのはむずかしくても、細長い翼で水辺をゆったり飛ぶので、カモメの仲間であることは簡単にわかります。
なぜ翼が細長いのでしょう?飛びながら食物を探すので、短い翼では効率がよくありません。また、風が強い海岸にいることが多いので、太い翼であおられては困るのです。
カモメの仲間は日本ではほとんどが「冬鳥」なので、夏に見るカモメはまず、一年中日本にいるウミネコのはず(東北以北ではオオセグロカモメも夏にいる)。多くのカモメたちがロシアから飛来する秋冬でも、沿岸部で暮らすことが多いので、河川や湖沼など内陸に入り込むのはまずユリカモメと思ってよいでしょう。
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増えるとギャングにもなる雑食性
毎年生まれる子どもが、無事に冬を乗り切れば数はどんどん増えます。カモメの仲間はカラス同様雑食性で、子育ての時期にはひなに動物蛋白を与えるために、ほかの鳥のひなをよく襲います。
ウミネコを除くカモメの仲間は、繁殖期にはロシアにいるので、日本で見かけることはありません。どの種も雑食性ですから日本沿岸部のゴミのおかげで生き残る数が増えると、ロシアで繁殖する他の海鳥にとっては、ひなを襲われる確率が増えるなど、脅威となります。
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