新たな産業別グループの現況
インダストリアル
半導体やディスプレイの進化を、
超精密技術で実現します。
先端エレクトロニクスのものづくりを支え続ける
豊かなサステナブル社会に向け、エレクトロニクス産業の進化がさらに求められています。特に半導体は、あらゆる機器のコントロールやデータ処理を行うロジック、メモリー、センサー、省エネに欠かせないパワーデバイス、通信用など、あらゆる産業の技術ベースになっています。
キヤノンのインダストリアルグループでは、半導体のほか、人とITをつなぐ入口・出口となるディスプレイ、産業機器分野で広く使用される計測機器、生産のDXを進めるデータソリューションの4つの領域で、超精密技術とこれまでのノウハウを注ぎ込んださまざまな製造ソリューションを展開。社会の発展に必要なものづくりの進化を支えます。
半導体製造プロセスを幅広くカバー
1970年に国内初の半導体露光装置を発売して以来、キヤノンは、複雑で超精密な動作が求められる半導体製造プロセスを幅広くカバーし、半導体デバイス生産に貢献してきました。「露光」プロセスでは現在、ロジックやメモリー、5G通信、車載向けパワーデバイスなどに用いられる、i線(水銀)やKrF(フッ化クリプトン)を光源とする露光装置が世界中で活躍。DXを推進するリモートサービスも展開し、半導体デバイスメーカーの生産性向上に貢献しています。
また、「成膜」プロセスではグループ会社キヤノンアネルバが真空成膜技術で金属薄膜を形成するスパッタリング装置などを手掛け、「接合」プロセスでは自動化・省力化機器を生産するキヤノンマシナリーが薄いダイ(=半導体チップ)をハンドリングするダイボンダーを展開。キヤノントッキを含めたグループ3社が技術をもち寄り、新たな事業ドメイン開拓にも注力しています。
さらに、複数の半導体チップの重ね合わせや、GPU※やメモリーなど複数機能のチップを集積する「パッケージング工程」では、高密度の接続と「つなぎ露光」でパッケージの大型化を実現する装置も提供し、半導体デバイスの高性能化を後押ししています。
- ※ Graphics Processing Unit。AIやゲーム向けの演算処理デバイス(プロセッサー)
高精細ディスプレイをつくり出すFPD露光装置
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの生産においても重要な「露光」と「蒸着」のプロセスをキヤノンは担っています。フラットパネルディスプレイ(FPD)露光装置は、大型の基板に極細のディスプレイ回路を描く装置で、スマートフォンやタブレット、PC、大画面の高精細テレビなど、液晶・有機ELを問わず、美しいディスプレイの生産を超精密技術で支えています。
有機ELディスプレイの普及をけん引
漆黒の黒色まで表現しながら省電力、薄型・軽量という点にも優れ、スマートフォンから大画面テレビにいたるまで急速に利用がひろがる有機ELディスプレイ。さまざまな課題から不可能とされていた量産装置を世界に先駆けて製品化し、以来、増え続ける需要を一手に引き受けてきたのがグループ会社キヤノントッキです。量産をリードするだけでなく、新たな製造方式の開発にも挑んでいます。
半導体デバイスの増産を支えるデータソリューション「Lithography Plus(リソグラフィプラス)」
超極細の回路を描く半導体露光装置には定期メンテナンスやチューニングなどが不可欠です。しかし、生産のスピードアップや歩留まり※1向上をめざす半導体デバイスメーカーは、限りなく停止ゼロの状態を望んでいます。
この期待にDXで応えるサービスが、キヤノンの「Lithography Plus」です。装置からリモートで情報を取得。装置の状態から部品交換やメンテナンスの計画立案をサポートします。また、異常の予兆を検知して自動復旧も実行。復旧に人手が必要なら手順を紹介するほか、キヤノンのエンジニアによるリモートサポートも行います。
さらに、生産開始時には、製造のノウハウなどを凝縮したレシピ※2を提供。つくり始めから高い歩留まりの達成をサポートします。
- ※1 生産された製品のうち良品の割合
- ※2 デバイスや製造プロセスごとの製造条件
インダストリアルグループの主な製品:
半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダーなど