野鳥写真図鑑

イソヒヨドリ

スズメ目ヒタキ科 全長約25.5cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/640秒|ISO:200|露出補正:-0.7|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-C)|撮影地:東京都

海岸の岩場で、一年中見られる。北海道では冬を越さない、あるいは見られない海岸もあるが、本州では海岸から離れた内陸部や都市部でも見られるようになってきた。笛のようなよく通る声で「ヒヨピーチョイチーツツピ」などとさえずる。地鳴きは「ヒッヒッ」、「グッグッ」。

さえずり
地鳴き

※鳴き声が再生されます。

磯(イソ)から都市へ進出中

ヒヨドリとは遠縁?

ウミスズメという名の海鳥はチドリ目に分類されていて、スズメの仲間ではありません。このように生物には誤解を招くような命名をされているものがいて、イソヒヨドリもその一例です。イソヒヨドリは、ヒタキ科に分類され、ヒヨドリの仲間ではありません。同じ科にはオオルリキビタキがいます。
イソヒヨドリとヒヨドリの違いは、ヒヨドリのオスがさえずらないことです。イソヒヨドリのオスは「オオルリのような美声」などと表現され、複雑にさえずります。ヒヨドリはさえずるための身体の器官・鳴管が発達しているスズメ目に属していますが、スズメ目の例外なのです。

イソヒヨドリ(オス) 背が青く、腹が赤茶色をしたオスでも、野外では距離や光の加減で色がよくわからないこともある。近年は都心でも身近な鳥になりつつあるので、気にして見てみよう。

都市化の謎

東京都心でも都市河川に沿ったビル街や駅などで、イソヒヨドリを目にするようになりました。横浜駅前のデパートでは、屋上で巣立ちして間もない幼鳥を見たことがあり、繁殖もしているようです。
磯をすみかにしていたイソヒヨドリが、どうして都市部まで進出するようになったのでしょう? 研究も始まっていますが、都市河川やビルのコンクリートを岩場に見立てて、生息域を広げているように思えてなりません。英名Blue Rock Thrushは「青い岩のツグミ」という意味で、大陸などではもともと内陸の山の岩場にいるようです。

イソヒヨドリ(メス) 地味なメスも大きさ、体型はオスと同じ。ゆっくりと尾を震わせる動作もオス同様で、イソヒヨドリの識別点のひとつ。
40

野鳥写真図鑑