野鳥写真図鑑

カシラダカ

スズメ目ホオジロ科 全長約15cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/1600秒|ISO:500|露出補正:+0.7|焦点距離:500mm|一眼レフカメラ(フルサイズ)|撮影地:愛知県

ユーラシア大陸の北部に分布し、日本では、冬鳥として山林、農耕地、河原などに飛来。頭部の羽毛が立って見えるのが名の由来。春が近づくと、オスは頭部が黒い夏羽になる。「チッ、チッ」と鳴くが、飛去前の早春には、ヒバリのような長いさえずりが聞かれることもある。

さえずり
地鳴き

※鳴き声が再生されます。

絶滅危惧種か?否か?

絶滅危惧は地域や時代で違う?

近年、IUCN(国際自然保護連合)がカシラダカを絶滅危惧種としました。これは、世界規模では減少傾向にあることが調べられた結果です。日本において、郊外では珍しくないカシラダカですが、庭や公園など、身近な環境では見かけることが少なくなってきました。野鳥の数や増減は、地域、季節、年によっても違うので、簡単に把握できるものではありません。絶滅危惧種についてもIUCN、環境省、都道府県などによってさまざまな選定があり、時代によっても変わります。
例えば、環境省が絶滅危惧種としているライチョウは、北半球北部に広く分布しているので、IUCNでは選定されていません。ちなみに、東京都では区部、多摩地区などに分けた選定をしており、ホオジロは区部で絶滅危惧種とされましたが、多摩地区では選定されていません。

カシラダカ(冬羽) 頭部の羽毛が立っていないときはスズメやホオジロと混同しやすいので、胸や脇にある斑紋に注目しよう。

ホオジロ科の共通点とは?

小鳥の主食は虫ですが、カシラダカを含むホオジロ科、スズメ科、アトリ科は例外。子育てに虫を必要とする繁殖期を除き、植物の種子を主食にしています。そのため、タネを噛み砕くのに適した太めのくちばしをしていますが、ホオジロ科はスズメやアトリなどと比べるとくちばしが小さいものが多く、イネ科など草木の小さな種子が好みのようです。
ホオジロ科もイネ科も、アメリカ大陸起源という説があります。アラスカ経由でユーラシアに広がったのではないか、というもので、アメリカ大陸にホオジロ科の種が多いことと関係しているかもしれません。ホオジロ科の小鳥は、カシラダカに限らず「チッ、チッ」と一声ずつ鳴きます。例外として「チチチ」と続けるホオジロと、「チーイン」と伸ばすオオジュリンは声で聞き分けられます。

カシラダカ(オス・夏羽) 夏羽への変化は、多くの場合、羽毛が抜けかわることによるが、カシラダカは例外。地味な冬羽の羽縁、外側が磨耗することによって、内側の黒い部分が現れて夏羽となる。
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