野鳥写真図鑑

カワラバト(ドバト)

ハト目ハト科 全長約33cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/500秒|ISO:200|露出補正:0|焦点距離:100mm|一眼レフカメラ(APS-Hサイズ)|撮影地:東京都

一般に「ドバト」と呼ばれるものは、家禽化された「カワラバト」が逃げ出して野生化したもの。原種である野生のカワラバトに近いものはグレー系で、翼に2本の黒帯、胸は緑や赤紫に光るが、さまざまな色や模様をしたものがいる。上嘴(じょうし)基部に白い鼻コブがあるが、幼鳥はあまり白くない(上の写真)。オスが求愛時に「ゴロポッポ」と低い声を発する以外にあまり鳴かないが、ひなは「ピー」と鳴く。

求愛
ひな

※鳴き声が再生されます。

元は伝書鳩などとして家禽だった

人の近くで厄介者に?

中央アジアなどに分布するカワラバトは、元来、崖の隙間で繁殖していました。人間が建造物を造りはじめた頃、カワラバトは建造物の隙間に巣を作るようになり、人はカワラバトを捕らえて飼うようになりました。伝書鳩のほか、鑑賞用や食肉用としても利用されてきましたが、それらが逃げ出して、世界各地で野生化しています。
日本鳥類目録では「外来種カワラバト」とされますが、「ドバト」と呼ばれるようになったのは、お堂に多かったので「堂鳩(どうばと)」に由来するという説があります。人の近くは天敵が少なく、主食が植物質なので、人が与える餌で生きられることも幸いしたことでしょう。
たくさん集まって群れになる習性や、人家や駅にも巣を作ることから嫌われるようにもなりましたが、ハヤブサやオオタカなどといった人の近くでも狩りをするようになった猛禽類には、獲物として貢献しています。

カワラバト 虫が少ない秋冬でも繁殖できるので、交尾も季節を問わずに見ることができる。

在来種との違いは?

日本在来のキジバトは、かつてヤマバトと呼ばれていた頃と変わって、今ではカワラバトのように町で人を恐れないものもいます。ただし、大きな群れにはならない、巣は樹上に作る、渡りをするものがいる(北海道では夏鳥)、滑空の際、翼は水平になる(カワラバトは翼の両端が上がってV字状に見える)などの違いがあります。
キジバトの解説で述べたように、植物の種子があれば季節を問わず繁殖できるので、1年中、求愛や交尾、親子や幼鳥が見られること、下を向いたまま水を飲むことができるなどはカワラバトも同じ。さらに、よく羽が落ちているのも同じです。繁殖後に換羽する(古い羽が抜け落ち新しい羽に生え変わる)という鳥類共通の習性を知れば、1年中繁殖しているので、いつでも羽を抜け変わらせているものがいることが理解できるでしょう。また、猛禽類によく狙われることから、もともと羽が抜けやすい体質なのかもしれません(猛禽類に襲われた際、羽が抜けることで逃げおおせる可能性が高まる)。

カワラバト オスが胸の光沢を目立たせるのが求愛行動の基本。原種と違う色や模様でも、オス(左)は胸を膨らませてメスにアピールする。
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