野鳥写真図鑑

オシドリ

カモ目カモ科 全長約45cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/1000秒|ISO:1600|露出補正:-1.0|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

林の樹洞で繁殖し、秋冬も樹木に囲まれた池や川に多い。春夏は山地に多く、秋冬は低地でも見られるが、北海道では冬を越さない。他のカモ類よりオスが派手になる時期が早く、秋には求愛が始まる。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

鴛鴦 おしどり 夫婦の真実とは?

オスが派手になるのは秋から

夏のオスの姿を見て、オシドリとわかる人はまずいません。冬の派手な姿の面影はなく、メスとほとんど同じ、地味な色彩をしているからです。小鳥は、春にオスがさえずってメスを誘いペアを作りますが、カモ類は冬にオスが求愛ダンスをしてメスを射止めようとします。
そのため、オスは秋から衣替えをして、しだいに派手な姿に変わります。秋にロシアから渡って来たばかりのカモたちが、最初はメスばかりに見えるのは、そのためです(ただし、カルガモは例外で、オスが姿を変えることはありません)。
オシドリは他のカモ類よりも少し早めに求愛が始まるので、低地でも見られるようになる秋には、オスはすでに変身済み。寒くなる頃にはペアが誕生し、地味なメスと派手なオスがセットで、わかりやすい「鴛鴦夫婦」が見られるわけです。

オシドリ 夏に、オスとメスを見分けるポイントは、くちばしの色。写真のように、夏のオスはメスと同じ地味な羽をまとっているが、くちばしは一年を通してピンク色をしている。

鴛鴦夫婦は続かない

鳥類の婚姻形態は一夫一妻が多いとはいえ、ツバメで解説したように、天敵も多く生存率が低い野生の世界では、その関係性を長く続けることはできません。また、カモやキジの仲間では、子育てするのはメスだけ。彼らのヒナは「早成性」と呼ばれ、孵化するとすぐに巣を離れます。ヒナは自ら歩いて食物をとることもできるので、メス親の安全管理は不可欠ですが、給餌で苦労することはありません。
オスは春から初夏に、メスと別れると地味な姿に戻ります。次の繁殖期まで生き延びれば、また衣替えをしてメスに求愛します。メスが生き延びたとしても、再び同じ雌雄でペアが組まれることは少ないでしょう。「ペアの相手は繁殖のたびに違う」と解説すると、「可哀想」という人もいれば、「うらやましい」という人もいます。

オシドリ オシドリは、他のカモ類より樹木を好み、昼は枝で休んでいることが多い(カモ類の多くは夜行性の傾向がある)。
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