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ステークホルダーエンゲージメント

基本的な考え方

キヤノンは、さまざまなステークホルダーに対して自らの考えを発信するとともに、ステークホルダーの声に積極的に耳を傾け、相互理解を深めていくための対話を継続的に実施することが重要であると考えています。こうした認識のもと、全世界のグループ会社の担当部署が窓口となって、ステークホルダーとの緊密なコミュニケーションを図っています。ステークホルダーからいただいた意見をもとに課題を抽出し、地域ごとのニーズに適切に対処すると同時に、グローバル経営に関わる重要事項についてはグループ全体で共有し、課題の解決に努めています。

また、社外のステークホルダーからの問い合わせに対しては、キヤノンのWebサイト内に窓口を設けています。ここに寄せられた意見・要望は、関連部門と共有し迅速に対応しています。また、企業評価機関や投資家、専門家、各種NGO/NPOの皆さまとの意見交換を適宜行うことで、活動の充実を図っています。

サステナビリティレポートの制作を行う上でも、企画段階から第三者との直接対話を複数回実施し、開示内容についての協議を行っています。このほか、投資家や株主、サステナビリティ専門家などへのヒアリングも実施し、開示内容の評価や期待を確認するなど、ステークホルダーの期待に応える情報開示の実現に努めています。

以下、キヤノンが事業活動を行う上で重要度が高いと判断したステークホルダーと、2021年に実施した具体的な対話の事例について紹介します。

ステークホルダーとの対話の事例

人権の取り組み

キヤノンは、2021年、人権の取り組みの一環としてステークホルダーとの対話を実施しました。人権方針の策定、人権デュー・デリジェンス(人権リスクの特定)にあたっては、英国のサステナビリティコンサルタント会社Sancroft International社と対話を実施し、外部専門家として評価、アドバイスしていただきました。また、人権リスクの影響を受ける重要なステークホルダーである従業員の代表として、キヤノン労働組合と対話を実施しました。従業員の人権リスクとして考えられる各テーマについて、労働組合の認識を確認するとともに、広く人権リスクについて意見交換しました。

Sancroft International社と実施した人権に関するオンラインミーティング

コロナ禍でも社会課題を学ぶ機会を

キヤノンは、すべての人が共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける「共生」をテーマに、講演会やイベントなどさまざまな企画を展開しています。2021年からは、コロナ禍の影響で人が集まるイベントが制限される中、社員が自席や自宅から参加できるオンラインイベントを立ち上げました。社員一人ひとりが社会課題についての理解を深めることで、社内イノベーションにつなげることをめざし、月に数回開催しています。ゲストスピーカーとして国連UNHCR協会の方や国連WFP協会の方に協力いただき、世界の難民問題、食品ロスについて学んだほか、SDGsやアクセシビリティ、ダイバーシティなどさまざまなテーマについて取り上げ、2021年は16回の開催でのべ1,826人の社員が参加しました。

オンラインイベントでの配信の様子

教育・研究機関

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 光学技術
  • 先端技術
  • 共同研究
  • リサイクルに関する環境教育
  • 共同研究
  • 国際学会や技術部会での発表
  • 事業紹介
  • 出前授業や企業協力講座への講師派遣
  • 学生のキャリア形成支援を目的としたインターンシップ
  • 宇都宮大学オプティクス教育研究センターでの授業(5回)
  • 小学生を対象とした環境授業(12回)
  • 大学、研究機関などキヤノン財団助成先の訪問(19回)
  • 産学連携など研究推進部門とのミーティング(23回)
  • 各大学での企業紹介や業務説明会(約150回)
  • 国内大学病院との共同研究開発など、教育・研究機関との定期的なコミュニケーション
  • 特別支援学校からのインターンシップ受け入れ(2校のべ2人)

従業員

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 労働環境の向上
  • 経営方針の理解
  • 福利厚生制度の整備
  • キャリア形成の支援
  • 評価/人事制度の整備
  • 労働安全制度の整備
  • 社内風土の向上
  • 労使協議会
  • 経営層からの情報発信
  • 人材育成プログラム
  • 人事相談窓口
  • 内部通報制度
  • 安全衛生委員会
  • 社内イベント
  • 中央労使協議会(8回)
  • 賃金・福利厚生・働き方改革など各種労使委員会(13回)
  • キャリアマッチング制度(252人)
  • コンプライアンスミーティング(2回)
  • 中央安全衛生委員会(2回)
  • 地区安全衛生委員会(事業所単位・月1回以上)

NGO・NPO

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 難民問題、貧困問題などグローバルな社会課題への対応
  • 被災地支援
  • 生態系の保護・保全
  • サプライチェーンリスク
  • ボランティア活動などの協働プロジェクト
  • 情報共有・意見交換
  • 生物多様性の保全をめざす団体とともに行う「未来につなぐふるさとプロジェクト」
  • 公益財団法人日本野鳥の会の協力のもと行う「キヤノンバードブランチプロジェクト」
  • 被災地における人道・災害支援活動
  • 世界各地域における生物多様性保全活動での連携
  • グリーンサプライチェーンの実現に向けた連携

外国政府・大使館

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 二国間およびグローバルな社会課題の把握と課題解決への支援
  • 各国との友好な関係の構築、維持、促進
  • 海外要人との面会や意見交換
  • 各種イベントへの参画
  • 各種問い合わせへの対応
  • 各種調査やアンケートへの協力
  • 外国政府・大使館との面会、ヒアリング、会合への出席などによる交流
  • 二国間のさらなる友好関係醸成に向けた意見交換会やイベントへの参画
  • 各種調査やアンケートへの協力

地域社会

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 地域コミュニティへの参画、企業市民としての責任の遂行
  • 事業を通じた地域社会への貢献
  • 地域社会における生態系の保護・保全
  • 緊急災害支援
  • 防災・防犯訓練
  • 地域団体への参加
  • 地域イベントおよびボランティア活動
  • 環境教育・啓蒙活動
  • 地域清掃
  • 教育・スポーツ・文化プログラムなどの社会貢献活動
  • 植樹などを通じた生態系保護・保全活動
  • 清掃活動
  • 被災地への社員ボランティア派遣
  • 社員による被災地救済募金

株主・投資家

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 持続的成長に向けた中長期的な経営戦略
  • 事業ポートフォリオの転換の進捗状況
  • 事業活動の動向と成果
  • 財務状況
  • ESGへの取り組み
  • 株主総会
  • 経営方針説明会
  • 機関投資家向け説明会
  • 機関投資家個別ミーティング
  • 投資家向けWebサイト
  • 投資家向け冊子
  • 決算説明会(4回)
  • コーポレート・ガバナンスに関する報告書の開示
  • 決算説明資料の改定など情報開示の拡充
  • 株主総会関連書類の早期開示、記載充実
  • IRミーティング(約240回)
  • アニュアルレポート、サステナビリティレポートの発行
  • サステナビリティレポートへの財務情報の掲載
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に即した開示
  • サステナビリティレポートの内容充実に向けた意見交換

サプライヤー

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 社会的課題解決に向けた要求
  • 調達方針
  • 化学物質情報伝達スキームの効率化
  • サプライヤーオンライン調査
  • 調達方針説明会
  • グリーン調達の推進
  • 財務、企業情報、企業倫理、責任ある鉱物調達、環境保全に関する調査(1回)
  • 調達方針説明会(1回)
  • chemSHERPAによる製品含有化学物質情報の調査・管理

官公庁・自治体

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 社会課題解決への積極的な支援
  • 企業などとの連携強化
  • 地域活性化の促進
  • 官公庁との意見交換
  • 自治体との意見交換
  • 経済団体、業界団体を通じた対話
  • 各種調査やアンケートへの協力
  • 官公庁との意見交換を通じた政策提言
  • 経済団体、業界団体の活動を通じた政策提言
  • 官公庁の重点施策の活用
  • 社会課題解決に向けた官公庁や自治体との連携
  • 官民人材交流の推進と支援
  • 立地自治体との意見交換会、各種イベントへの参画と実施
  • 新規技術やソリューションの紹介と提供、観光PR映像の制作
  • 政府統計、業界・経済団体からの調査やアンケートへの協力(75件)

他企業

関心のあるテーマ 主なコミュニケーション手段 2021年の主な取り組み
  • 産業界の動向
  • 複数業種にまたがる社会課題の解決
  • 製品・技術の動向
  • 共同プロジェクト
  • 環境技術の供与の仕組みへの参画
  • COVID-19と戦う知財宣言の発表・推進
  • 他企業との共同研究、開発業務受託
  • 環境保全技術のプラットフォームへの提供
  • 他企業へCOVID-19と戦う知財宣言の参画への呼びかけ、宣言書の準備
  • 業界団体等への参加(詳細は、主な会員資格および参加している外部イニシアティブ)