仕事と人

グループ会社の知財支援業務

業務概要

キヤノンでは、グループ知財総合力の強化を目的に、世界各国のグループ各社における知的財産の形成を促進することをポリシーとしています。そこで、グループ各社の知財活動をグローバルな共創にするために、キヤノン(株)知財部門に総合窓口となる「グループ会社知財支援部門」を設けています。
グループ会社知財支援部門の業務は、日々の相談から知財管理支援やM&A後の知財統合プロセス、人財育成まで多岐にわたり、その内容はキヤノングループを取り巻く環境に合わせて常に変化します。そのため、変化の兆しを捉え視座高く柔軟な対応ができるよう、豊富なバックグラウンドをもつメンバーが集結し、専門性を生かした知財コンサルタントとして、キヤノングループの各部門と連携したさまざまな支援を提供しています。以下、代表的な3つの業務をご紹介します。

グループ各社の特性を生かした知財活動の推進にあたり、グループ会社知財支援部門は、グローバルな視点をもって、キヤノン(株)の各種専門部門との連携や、グループ会社同士をつなぐサポートをしています。
グループ各社の特性を生かした知財活動の推進にあたり、グループ会社知財支援部門は、グローバルな視点をもって、キヤノン(株)の各種専門部門との連携や、グループ会社同士をつなぐサポートをしています。

業務のポイント

1.グループ知財ガバナンスの基礎・土台造り

グループ会社知財支援部門では、強靭な知財基盤の構築をめざし、グループ間で情報・人脈が網の目状につながる仕組みを提供しています。その一つとして、グループ各社の知財部門長が集まるグローバル知財サミットの企画・運営を行っています。グローバル知財サミットでは、各国・地域のグループ各社による知財方針や戦略・知財活動を共有することでグループ間の相互啓発を促進し、最新トレンドの共有を通じて、グループの知財総合力の底上げを図っています。
また、種々の知財施策を滞りなく推進するにあたり、職務発明規程などの制度設計の提案や、開発委託・受託業務における知財の取り扱いに関する業務フローの整備も行っています。さらに、知財意識向上を図る啓蒙活動の一環としてグループ会社を訪問し、各種ルールや研修、成功事例や失敗事例の共有など、知財重視の風土を醸成する活動も行っています。

[グローバル知財サミットの様子]
1年に1~2回、国内外のグループ会社の知財責任者が一堂に集まり、数日間、グループ会社間の共創など、幅広いテーマについて発表や議論を行います。オンラインミーティングやメールでは埋めることのできない、生のコミュニケーションをとる絶好の機会であり、グループのさらなる結束力を築くことができます。

2.産業別グループごとの知財連携のサポート

キヤノングループでは、4つの産業別グループ(プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル)活動と、自主事業や研究開発といった新規分野の開拓を行っています。
そこで、産業別グループの編成に対応した知財戦略の構築と推進を目的に、各市場に特化した産業別グループ各社の知財環境の分析や競合他社を見据えた活動を行っています。活動の推進にあたっては、共通課題を見出し、分野ごとの特許ポートフォリオ戦略をたて、めざすべきベクトルを合わせることが重要となります。グループ会社知財支援部門では、グループ各社を長年サポートしてきたノウハウを生かし、これらの連携活動をサポートしています。

グループ会社の知財支援部門は、グループ知財ガバナンスの基礎・土台造りを通じて、キヤノングループ全体の知財力を強化していきます。

3.グループ各社の自主事業や個別案件の知財サポート

新規分野の開拓にあたり、M&Aや自主事業の立ち上げなどグループ各社の活動が多様化しています。知財コンサルタントの機能を担うグループ会社知財支援部門では、以下のような個社の事業フェーズに応じたサポートを提案し、専門部門と連携した支援を推進しています。

事例1:M&Aに伴う知的財産の管理体制の構築

M&Aでグループ入りした会社に対し、キヤノン(株)部門の関わり方を整理しながら、その国における特許法、技術規制法に則した知財管理体制を構築する必要があります。知財に対する考え方も異なるため、各社の状況を鑑みて伴走しながらキヤノンの考え方やルールを浸透させていきます。

事例2:自主事業や新規分野の開拓・新規事業の立ち上げ

新規事業に必要な特許ポートフォリオの構築・有効な権利の取得やタイミングについて、キヤノン(株)の特許権利化部門や契約部門とともに、グループ各社の知財部門や事業部門にアドバイスをしています。また、新たな切り口でのマーケティング対象となる市場調査の提案、IPランドスケープの活用方法や必要な情報の収集などの相談受けも行っています。

事例3:事業撤退・事業譲渡に伴う知的財産権の処理

キヤノングループが保有する事業を撤退・譲渡する際に、円滑な資産移転のため、経理部門と協力しながら知的財産権の価値算定などの支援を行っています。またキヤノングループとしてその権利をどの会社がもつべきか、といった相談や調整のサポートをしています。

このように、グループ会社知財支援は業務の幅が広く、多くの部門と関わる仕事です。日々新しい案件に出会い、知財を超えた広いフィールドで、各社が協力し合いながら仕事ができることが魅力の一つです。日本企業が日本から日本だけ見ていてもグローバルな共創は進みません。知財を軸に、各社の特性を生かし、キヤノングループとしてできること・キヤノングループだからこそできることを見つけ、グループ全体にとって最適な施策を打つことが、グローバル企業のグループ会社知財支援部門としての役割となります。