知で攻める・知で守る

「戦う知財」

キヤノン株式会社
執行役員 知的財産法務本部 副本部長

真竹 秀樹

キヤノン株式会社 執行役員 知的財産法務本部 副本部長 真竹 秀樹

キヤノンの知財は、常に戦うことによって成長し強化されてきました。
1960年代の米国ゼロックス社との複写機の特許を巡る争いに始まり、競合他社との係争や論争の経験を経て、今日の強大な特許ポートフォリオを形成するにいたりました。キヤノンが業界をリードする企業となっているのも、強い製品やサービスと併せて、強い特許網があることが大きな要因の一つです。

1980年代、キヤノンは、ほかの日本企業同様、米国で数多くの訴訟を受けました。個人発明家による訴訟や、カメラのオートフォーカス技術に関する訴訟が提起されました。キヤノンの強みは、エンジニアと知財メンバーが緊密な信頼関係で結ばれているところにあります。エンジニアと知財メンバーが一致団結して、知恵を出し合うことにより、これら訴訟に対しても非常に有利な条件で和解を引き出すことができました。この時に得た米国の訴訟手続きの知識と経験は、この後に頻発することになる米国における訴訟に存分に生かされました。

1990年代以降、キヤノンは、キヤノンの特許を侵害しているプリンターや複写機の互換消耗品に対して、訴訟や警告などの権利行使を積極的に行うようになりました。訴訟地は日本、米国(連邦裁判所および国際貿易委員会)、ドイツ、イギリス、ロシア、韓国、中国、ブラジルなど全世界にわたり、その件数は200件近くになります。その全てで勝訴または有利な和解を勝ち取っており、キヤノンの特許の強さが証明されています。とりわけ日本と韓国においては、最上級裁判所において後の司法実務の規範となる判例を確立することにも成功しています。

2000年代以降、自らは事業を行わず専ら特許の権利行使によって収益を得ようとするPAE(Patent Assertion Entity)の活動が米国を中心に活発となりました。PAEは事業や製品を有していないため、キヤノンの保有する膨大な特許も対抗手段として使えません。しかし、そのような訴訟であっても、キヤノンは安易に相手の要求に応じるようなことはせず、エンジニアと知財メンバーの緊密な協力や過去の米国訴訟で得た知識と経験に基づき、あらゆる手段を用いて対抗します。2012年にPAEから提起された訴訟では、ほかの被告が続々と和解していく中、残された一社となったキヤノンは、6年間の訴訟を戦い抜き、最終的にPAEの主張を退けました。

このような活動を支えてきたのは、キヤノン知財メンバーの間に脈々と受け継がれているDNAです。目的を達成するために、メンバー数百名の総力を挙げ、絶対に諦めず、取り得る手段は全て取る。という「戦う知財」を体現する姿がここにあります。

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