キヤノン知財とは

「わが社の
イノベーションと
ともにある知財」

キヤノン株式会社
代表取締役会長兼社長 CEO

御手洗 冨士夫

キヤノン株式会社 代表取締役会長兼社長 CEO 御手洗 冨士夫

キヤノンは、企業DNAとなっている「進取の気性」を常に発揮し、時代の要請に応えるイノベーションによって、成長を続けてきました。1937年にカメラ事業で創業し、1964年には計算機を電子式にした卓上式電子計算機を開発しました。この卓上式電子計算機は、世界で初めてテンキー配列を搭載して小型化を実現し、テンキー配列はその後のデファクトスタンダードとなりました。また、1965年には、キヤノン独自の電子写真技術であるNP方式を完成させ、1977年にはサーマル方式のインクジェット技術を発明して1985年にプリンターとして製品化を実現することで、オフィスの生産性を高め、一般家庭にプリンターを普及させることに貢献しました。そして、現在もなお、デジタル化やIT技術の進展に合わせ、さまざまな分野でイノベーションを起こし続けています。

これを支えてきたのが、知的財産活動です。キヤノンの研究開発部門ではいまでも、「論文を読むなら特許を読め。レポートよりも特許を書け。」と語り継がれ、独自技術を非常に大事にしています。

私自身も、日本政府の掲げる「知的財産立国」の実現のため、2003年に知的財産戦略本部の初代本部員となり、知的財産高等裁判所、法科大学院/知財専門職大学院の設立に携わるなど、キヤノンのみならず、日本の、ひいては世界の産業全体が知財で強くなる未来の実現に力を注いでいます。

キヤノンの企業理念「共生」は、全ての人類が末永くともに生き、ともに働き、幸せに暮らしていける社会を志しています。キヤノンは、イノベーションとその知的財産により、「新たな価値創造、社会課題の解決」に全力で取り組み、理想の社会の実現をめざしてまいります。

「キヤノン知財の針路」

キヤノン株式会社
専務執行役員
知的財産法務本部長

長澤 健一

キヤノン株式会社 専務執行役員 知的財産法務本部長 長澤 健一

『キヤノン特許部隊』という我々にとってバイブル的な知財戦略が書かれた本が発刊されたのは2002年です。この本に書かれている時代から徹底されてきたキヤノン知財の二つの原則は、目の前の戦いで「勝つ」ことと、未来を予測して長期的な高い視点を経営に反映させることです。この、一見、時間軸が異なる二つのことを常に意識し、次々と施策を実行することが我々知財部門の役割を果たす基本的な姿勢です。私も、「勝つ」ことのために夢中で仕事をしてきました。

21世紀に入り、「クラウド」という言葉が生まれ、第4次産業革命と言われる時代に対応すべく、世界の名だたるICT企業、クロスインダストリー化に伴う異業種企業との知財問題の解消に取り組んできました。現在は、SDGsなどの社会的ニーズの顕在化、経済安全保障問題、コロナ禍とニューノーマル時代の到来などによる社会の大きな変化が予想されます。したがって、いま行うべきことは大きな変化が予想されるビジネスの兆しを読み取ることでしょう。そのような変化の兆しをいち早く捉え施策を考えて実行することが、知財戦略上極めて重要であることは言を俟たないと思います。しかし、長期戦略に基づき施策を実行し、成就させることは簡単ではありません。社内で意見が食い違うこともありますし、まして、利害が相反する他社と交渉する場合には、決して思い通りにいきません。

そのような施策の成就のために非常に有益なことは、いま、目の前にある係争に「勝ち続ける」ことです。勝ち続けていれば、ビジネスで競合する可能性のある相手は、キヤノンと知財係争を行うことを避けるようになるでしょう。また、「勝ち続ける」ことにより知財部門の社内発言力が増し、そのことが長期的な会社経営を支えることにもつながります。

また、キヤノン知財は、一企業の枠を超え、日本を代表する知財部門として、わが国の産業全体の振興に寄与していく所存です。そして、わが国の産業の振興がわが国の発言力を強め、現在の難しい情勢をグローバルにより良い方向に導くことになると確信しています。