キヤノンでは、製品開発において問題となる現象のメカニズムを解明し、シミュレーションモデルや設計ルールに置き換えています。これらをもとにComputer Aided Engineering(CAE)やComputer Aided Design(CAD)のツールを独自に開発し、高度に活用するノウハウを蓄積してきました。それがキヤノン内で「試作仮想化技術」として体系化され、設計現場で有効に利用されて手戻り時間やコストを大幅に削減しつつ、ブランドを支える高い品質の製品を生み続けることを可能にしています。
たとえば、プリンターの開発においては、紙の搬送時に起こるさまざまな問題を解決しなければなりません。キヤノンでは、紙詰まりや紙しわ、斜行などの問題を計算機上で確認し解決策の検討まで行える独自のシミュレーターを開発し、試作機に頼らない設計が可能となっています。また、従来は落下や衝突時の部品破損は試作機が完成してから試験を行うため、一旦問題が起こると設計終盤での見直しが必要となり、開発期間遅延の原因となっていました。