人材育成

人を育てることこそがものづくりの基本

キヤノンハイテックタイランドにおける技能研修

ものづくりを支えるのは、これまでもこれからも人であることに変わりはありません。いま、キヤノンでも、生産の完全自動化をすすめていますが、そもそも自動化とは、人が知恵や技能を使って手作業で作りこんだ工程を自動化しなければ、必要がない作業やムダを装置にさせることになってしまいます。自動化装置よりレベルの高い作業ができる人がいなければ自動化が進化することは考えられないのです。高い技能をもつ人やすご腕の作業をする人を育て、その技術・技能を確実に次の世代に伝えていくことこそが、ものづくり自体を進化させることにつながります。

ものづくり人材をいちから育てる

新入社員ものづくり研修

ものづくりに限らず、人を育てる教育・研修では、基礎的な内容が丁寧に行われないという傾向が強まっているといわれています。しかし、キヤノンでは、企業DNAの1つとなっている「人間尊重」がつねに意識され、ものづくり研修では基礎的な研修にもじっくり取り組める環境を整えています。
中でも、工業科のみならず、普通科や商業科、農業科などの高校を卒業して入社する社員には、約半年間をかけてものづくり基礎研修を実施。全員がものづくり研修所において、図面の見方や書き方、金属の加工の仕方など、基礎的な技術・技能を学ぶほか、キヤノンの行動指針「自発、自治、自覚」の「三自の精神」に基づいたチャレンジ精神やコミュニケーション、チームワークなど、社会人としての基礎も身につく研修を行っています。

コラム「ものづくり研修所」

ものづくりの教育・研修は、3か所の「ものづくり研修所」を中心に実施されています。
研修全体のまとめ役となっている取手研修所は9,700㎡の広さがあり、通常のものづくり研修のほか、技能五輪の訓練なども行っています。また、レンズなど光学系のものづくりは宇都宮研修所が、カメラの生産拠点が数多くある九州地区の研修は大分研修所が担当しています。

取手ものづくり研修所

着実に技術・技能を身に付けられる研修体制

機械コースの研修

高校を卒業した新入社員は、半年間の基礎研修が終了したあと、さらに約半年間、機械コースや装置組み立てコースなど、実際に配属される職場を意識した専門領域を学ぶコース、あるいは選抜試験を受けて技能五輪にチャレンジするコースへと進みます。
もちろん、技術・技能の習得は新入社員の時だけで終わるわけではありません。キヤノンでは、機械、電気、光学、材料、ソフトウエアなど専門分野ごとに「技術人材育成委員会」が設置され、新入社員から若手、技術リーダーにいたるまで、配属後も階層に応じて国家資格の取得をはじめ、着実に段階を踏んでレベルアップができるように育成のプログラムを用意しています。さらに、解析技術など、専門分野を横断する研修も用意し、視野の広いものづくり人材の育成に力を入れています。

ものづくり人材育成もグローバルに

グローバルに広がるキヤノンの生産拠点においては、毎年日本から講師を派遣し、ものづくりの研修を実施しています。さらに、年間を通じて拠点独自で充実した教育ができるよう、管理監督者や工場技能者などを対象に、技術・技能研修や職場管理研修の講師を育成する「トレーナー養成研修」を行っています。

社員トレーナーによる研修(キヤノンベトナム)