若者たちが切磋琢磨して技能レベルを高めあうために1963年から開催されている「技能五輪全国大会」。原則23歳以下の若手技能者たちが各県代表として集まり、機械や建築、サービスなどの42種類の職種で腕を競いあいます。キヤノンは、次世代のものづくりを支える人材を育てるために2004年から参加。選手は高校を卒業した新入社員の中から、自ら挑戦する意志のある人が選抜されています。
若者たちが切磋琢磨して技能レベルを高めあうために1963年から開催されている「技能五輪全国大会」。原則23歳以下の若手技能者たちが各県代表として集まり、機械や建築、サービスなどの42種類の職種で腕を競いあいます。キヤノンは、次世代のものづくりを支える人材を育てるために2004年から参加。選手は高校を卒業した新入社員の中から、自ら挑戦する意志のある人が選抜されています。
グループ | 職種 |
---|---|
機械系 | 精密機器組立て、フライス盤、旋盤、自動車工、時計修理 など |
金属系 | 車体塗装、自動車板金、電気溶接 など |
建設・建築系 | タイル張り、左官、家具、造園 など |
電子技術系 | メカトロニクス、電子機器組立て、工場電気設備 など |
情報通信系 | ウェブデザイン、ITネットワークシステム管理 など |
サービス・ファッション系 | フラワー装飾、理容、洋菓子製造、日本料理 など |
参加資格は、23歳以下であること。都道府県ごとに開催。成績優秀者は、都道府県別の選手団代表として、全国大会に出場します。
47都道府県の代表が参加して、毎年開催。成績優秀者は、金/銀/銅/敢闘賞のメダルを獲得します。
正式には、国際技能競技大会(World Skills Competition)と呼ばれています。2年に1度開催され、全国大会の成績優秀者の中から選抜されます。
キヤノンでは、技能五輪の42の職種のうち、キヤノンのものづくりに必要とされる技能や技術、知識が試される「フライス盤」「精密機器組立て」「メカトロニクス」「電子機器組立て」の4職種に参加しています。
第61回技能五輪の受賞選手
高校を卒業した新入社員は、全員まず約半年のものづくり基礎研修を受けます。その中で、技能五輪に挑戦したいという社員は、自ら手を挙げて技能五輪選抜コースへの選考試験を受験します。合格者は、高い技能を習得して、将来、ものづくり力の向上に貢献したいという意志のある社員たちです。
選抜コースでは、それぞれの職種にわかれて訓練を行っています。経験を積んだ熟練社員や過去に選手だった先輩社員などがコーチになって指導し、訓練での悩み事や時にはプライベートの相談相手にもなって、日々の訓練を行っています。高い技能を身につけるため、訓練は基礎的な内容からスタートし、選手それぞれの習得状況に合わせて難しい訓練に入っていきます。過去の大会の課題を繰り返し行う訓練のほか、見学者に見られながらの訓練、他企業との合同訓練など精神面を鍛える内容も含まれています。
訓練を続けるための体作り、技を磨くカリキュラム、精神面を鍛える活動を組み合わせることで全国大会でも選手が持っている力を最大限に発揮できる訓練が行われています。
3年間の技能五輪の訓練を通して高い技能が身につくため、技能五輪卒業後に配属職場で多くの卒業生が活躍しています。
「フライス」という刃物(切削工具)を回転させて、素材を削る技能を競います。作りたいものに合わせて切削工具を選び、穴をあけたり、溝を削ったりして、作りたい形状に仕上げていきます。競技内容は事前に公開され、選手は最適な加工方法を検討してから大会に臨みます。4つの金属部品を加工し組み立て、運動機能をもつ製品をつくりあげます。制限時間の中で、0.01mmを超える高い精度の機械加工の技能を競います。
4つの金属部品を削り出し、組み立てる
材料
単部品を製作
完成
金属の切削や加工に使われる3種類の工作機械(フライス盤、旋盤、平面研削盤)とやすりを使った手仕上げによって、鉄や黄銅など、材質や形が異なる約20個の部品を加工し、組み立て、調整する職種です。
大会内容は事前に公開され、最適な加工方法を検討し訓練した上で大会を迎えますが、当日に一部図面変更が入るなど応用力も試される競技となっています。競技時間で髪の毛の太さの100分の1にあたるマイクロメートル(0.001mm)単位という超高精度の技能を競います。
約20個の部品を削り出し、組み立てる
材料
単部品を製作
完成
自動化装置に必要な装置の設計や組立て、プログラミングなどを行い、作業の速さと正確性を競います。大会では、当日発表される仕様書・図面・部品をもとに、センサーやモーター、ロボットアームなどを組み合わせて自動化装置を製作します。完成すると、さらに装置を改良する追加課題が発表され2日間の競技時間内での解決が求められます。この職種は2人1組で行うため、お互いの知恵と技能を出し合い、課題を完成させるチームワークが欠かせません。
生産設備を作り、プログラミング制御まで行う
完成したステーション
工業製品に使われる電子回路基板の設計や組み立て、プログラミングの技能を競います。大会当日に発表される仕様書をもとに、仕様書通りに動くようにコンピューター(CAD)で図面を設計し、ハンダなどを使いながら電子回路を組み立て、プログラミングを行い出来栄えを競う競技、運営者からトラブルが仕掛けられた製品に対して、測定機器を使いながら、どの部分に問題があるか原因を特定して修復する競技、プログラム作成のみを競う競技の3種目の総合点で順位が決まります。
ハンダなどの工具を駆使して製作された電子機器
技能五輪で活躍
キヤノンが技能五輪全国大会への挑戦を始めた2004年から15年以上がたち、技能五輪を戦った社員たちは、いま、それぞれの職場で中心的な役割を担っています。技能五輪選手として培ったチャレンジ精神や諦めない心、応用力が、キヤノンのものづくりに生かされ、次の世代のものづくりへと継承されています。
生産ライン停止ゼロのリーダーに
2023年11月17日~11月21日の日程で開催された、第61回技能五輪全国大会において、電子機器組立て職種で1名が銀賞、フライス盤職種で1名が銅賞を受賞しました。また、敢闘賞も3人が受賞しており、キヤノンのこれまでの累計受賞数は、今回を含めて75(金賞5つを含む)となりました。
キヤノンはこれからも、技能五輪選手をはじめとした人材の育成を通して、ものづくりの進化を追及し続けます。