設計課題には、理論的なメカニズムの解明が困難な現象が多く存在しており、すべてを物理的なシミュレーションで再現することは不可能です。
キヤノンでは、このような課題を高精度な分析装置により現象を可視化し、シミュレーターに入力する特性値としてデータベース化することで課題を解決しています。
例えば、プリンタ―の開発の際に行う紙搬送シミュレーションでは、実際の紙の搬送速度は、紙に働くテンションやトナーの載り量、紙粉の有無などにより変化します。これらの特性を精度良く測定するには市販の分析装置では難しいため、独自の分析装置とその解析技術を開発しています。
キヤノンは、紙やゴムの摩擦係数の経時変化、高粘度インクの流動特性、冷却装置の特性、音響特性などさまざまな特性をデータベース化するための分析装置を所有しています。それらを活用することで、なぜ不具合が起こるかというメカニズムを解明するとともに、設計へ反映することで、製品の品質向上に大きく貢献しています。