メディカルが実現する社会
カテーテル検査を減らし
患者さんの負担を少なく
心臓のCT検査で求められた高精細な画像
体を精密に調べるX線CT検査。体の周りをX線を出す装置と検出する装置が回転し、体の断面を画像化するしくみですが、X線を一方向から当てるレントゲン画像だと見つけられないような病変でも、360 度から撮るCTであれば見つかる可能性は高まります。CT検査では患者さんが息を止め、なるべく動かないように撮影を行います。しかし心臓はつねに動く臓器で、特に不整脈などを持つ患者さんのCT撮影が難しいという課題がありました。
16cm幅をたった1回転で撮影できるCT装置を世界で初めて※1製品化し、心臓や脳など主な臓器の短時間撮影や血液の流れの撮影をできるようにしたキヤノンメディカルシステムズ(以下、キヤノンメディカル)。従来に比べ 8 倍の分解能が得られる高精細CTの実用化など、世界に先がけて次々と生み出してきた技術を生かし、さらなる高精細化をめざしたのが超解像画像再構成技術「Precise IQ Engine:PIQE(ピーク)※2」です。設計段階でディープラーニングを用いたこの技術は藤田医科大学病院などの医療施設との共同開発で実用化され、心臓CT検査の新たな可能性を切り拓いています。
- ※1 2007年当時、キヤノンメディカル調べ
- ※2 画像再構成処理の設計段階でAI技術を用いており、本システム自体に自己学習機能は搭載していません
ディープラーニングで心臓の高精細画像を実現
40の診療科と日本最多1,376の病床を持つ藤田医科大学病院では、いまキヤノンのCT装置7台が稼働し、中部地方の基幹病院として医療提供を行っています。循環器内科においても日本有数の実績があり、PIQEの開発では画像評価など臨床視点からキヤノンメディカルと共同開発を行ってきました。
PIQEはキヤノンが誇る世界トップクラスの高精細CTの画像を教師データとして使用。1回転で、かついままでよりも高精細に心臓の血管を撮りたいというニーズに応える「超解像」の画像を実現しました。血管内のステントの状態が鮮明に見え、2.5 mm以下のステントの見え方も向上し、カテーテル検査をしなくても診断できる可能性が高くなりました。患者さんの負担や不安を減らせる技術としてPIQEは今後、世界中での活躍が期待されています。