パートナーシップ
キヤノンの標準対応
標準化活動は相互運用性を担保するために欠かせないものです。キヤノンでは古くから、カラーや圧縮符号化などの画像フォーマット、FAXなどの通信規格の標準化に取り組んできました。1990年代から、キヤノンの製品群は、デジタルカメラ、デジタル複写機・複合機といったデジタル機器へシフトしました。それに伴い、イメージデータのデジタル処理の開発や、製品自体とほかの機器との親和性を重視した設計が進化し、国際標準規格への対応の重要性が増してきました。このようなデジタルシフトをきっかけに、キヤノンは標準対応を強化しました。たとえば、デジタルカメラのファイルシステムExif/DCFの標準化に積極的に参加して標準技術の普及に貢献し、現在では世界中のほとんどのデジタルカメラ、スマートフォンで採用されています。
そのほかのITUやISO、IECなどの国際標準、JEITAやJBMIA、CIPAなどの業界標準にも広く貢献しています。
このようにキヤノンは、事業製品に根差した技術の標準化に関わってきましたが、現在は、さまざまなデバイスがつながることでビジネス領域が広がるとともに、業界間の壁がなくなってきています。それらを滞りなく進めるためのインフラ技術(標準技術)はなくてはならないものとなっています。また、標準に準拠した製品やサービスを製造・提供する上で、必ず使用される特許が存在する場合があります。そのような特許は標準必須特許と呼ばれ、標準必須特許および標準周辺の実装特許を取得することは、知財競争力の強化につながります。キヤノンは現在、動画符号化(HEVC、VVC)、無線通信(Wi-Fi、IEEE802.11、5G)、無線電力伝送(Qi)などのインフラ技術の標準化活動に参加しており、標準技術に関わる知財競争力の強化をめざしています。今後もキヤノンビジネスの将来を見据えつつ必要な標準技術に注力していきます。
事例) Wi-Fi規格の標準化活動と必須特許
Wi-Fiアライアンスという標準化団体では無線LANに関する種々の規格の標準化が行われています。キヤノンは、このWi-Fiアライアンスに参加し、他社と協力して必要な仕様の策定を行いました。その中で、種々の発明を生み、特許も獲得しました。このように、標準化の中で発見された課題に対する解決策を提案することが、標準必須特許を獲得することにつながります。キヤノンは標準化貢献につながる発明活動の強化に積極的に取り組んでいます。
標準に関連する特許のライセンシング
標準必須特許がライセンスされなければ、標準技術の普及は望めません。各標準化団体は、標準必須特許の扱いについての取り決めを含む、知的財産権のポリシー(IPRポリシー)を定めています。キヤノンは、それらを順守した標準必須特許のライセンシングを、ビジネス環境に応じて行っています。
一つは、パテントプール*の活用です。現在、キヤノンは、動画符号化標準HEVCのパテントプールにライセンサーとして参加しています。2021年4月現在、パテントプールにはキヤノンの550件超の標準必須特許が対象特許として認定されています。また、HEVCの後継となるVVCに関しても、パテントプールの活用を検討しています。
一方、パテントプールがない、あるいは、キヤノンがパテントプールに参加していない技術の標準必須特許については、個別のライセンスにも応じています。
- * 複数の特許権者が所有する特許を、一つの組織体で管理運用し、その構成員が必要なライセンスを受けることができる仕組み。
標準規格団体へのオープンレター
Bluetooth SIG (Special Interest Group)にBluetooth規格に対する不当な権利主張への対処を求めるオープンレターを掲載しました。