キヤノン知財の歴史

インダストリアル分野の歴史

インダストリアル

  • 1960年代半導体関連分野への進出

    キヤノンの産業分野への参入の歴史は1960年代に胎動を始めました。キヤノンの中核技術の一つである光学と親和性の高い半導体製造用レンズの開発を始め、1967年に高解像度レンズ「U100mm F2.8」を完成させました。その後、半導体露光装置そのものの開発を開始し、U170mm投影レンズにアライメント顕微鏡、アライメント機構をつけたプロジェクション方式の等倍焼付機「PPC-1」を1970年に日米両国で同時発表して大きな関心を集めました。この製品は、国産初となる半導体露光装置でした。産業機器分野の知的財産活動も足並みをそろえて開始しており、製品発表前年の1969年には等倍焼付機に関する特許出願をしました。

    国産初の
    半導体露光装置「PPC-1」
  • 1970年代ステッパー誕生

    1970年代には、レーザーを使ったオートアライメント機構の開発を始め、1976年には、走査型光検出装置の特許を出願しました。この技術は、1978年に発売した半導体露光装置「PLA-500FA」において、当時世界初となるレーザーによるオートアライメント機構に搭載されました。この製品以降、レーザーを使ったオートアライメント機構は半導体露光装置の業界標準となっていき、1983年のセミコン・ジャパンで発表したキヤノン初のステッパー「FPA-1500FA」のアライメント技術にも応用されました。

    ベストセラーとなった
    PLA-500シリーズ
    (写真は「PLA-501FA」)
    キヤノン初のステッパー
    「FPA-1500FA」
  • 1980年代FPD(Flat Panel Display)露光装置の発展

    1980年、現在のFPD露光装置の系譜につながるミラー光学系の技術を用いた反射投影方式の半導体露光装置「MPA-500FA」(解像度1.5μm)を発売しました。同機には1975年に特許出願したミラー光学系に関する技術が搭載されました。そして、1986年に発売したキヤノン初のFPD露光装置「MPA-1500」にも同特許出願の光学系が用いられています。1985年には、マスクと基板の同期スキャンに関する発明を特許出願しており、この技術は1997年発売のFPD露光装置「MPA-5000」に搭載されました。また、FPDの生産性向上に貢献するものとして、機械振興協会通産業大臣賞を受賞しました。

    ミラー光学系の技術を
    用いた256K DRAM
    製造用の「MPA-500FA」
    FPD露光装置
    「MPA-1500」
  • 1990年代前半ステッパーの発展

    1990年代前半には、エアベアリングを用いたステージ構造や投影光学系に伝わる振動を抑制するためのアクティブダンパーに関する発明が生まれ、多くの特許出願をしました。これらの技術は、1994年に発売した64メガビットDRAM量産用i線ステッパー「FPA-3000i4」に搭載されました。同機はNA0.63、解像力0.35μmという、当時としては世界で最高レベルのi線用レンズを搭載しており、エアベアリングステージを新規に搭載しました。

    64メガビットDRAM
    量産用i線ステッパー
    「FPA-3000i4」
  • 1990年代後半i線からエキシマレーザーへ

    半導体素子の微細化に対応して1990年代後半には光源としてエキシマレーザーが採用されるようになりました。キヤノンでは、1980年代前半にはエキシマレーザーの狭帯域化技術、露光量制御技術に関する特許出願を開始するなど、時代の先を見越した開発および知財活動を進めていました。これらの技術は1996年に発売のエキシマレーザーを使用したステッパー「FPA-3000EX3」に搭載されました。

    光源にKrFエキシマレーザーを
    使用した「FPA-3000EX3」
  • 2000年代以降ナノインプリントリソグラフィの開発

    2004年、さらなる半導体素子の微細化を図るため、キヤノンはナノインプリント技術の研究に着手しました。2009年、同技術を用いた次世代半導体露光装置の量産をめざし、ナノインプリント技術に関する特許登録件数と技術力で世界トップレベルにある米国のモレキュラーインプリント社および大手半導体メーカーと共同開発を開始。2014年にはモレキュラーインプリント社を完全子会社化(新社名キヤノンナノテクノロジーズ)して開発を加速させました。知的財産部門では、ナノインプリント技術の研究を始めた2004年より開発部門と連携して、現在にいたるまで継続的な知的財産活動を行っています。