キヤノン知財の歴史
メディカル分野の歴史
メディカル
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1940年X線カメラ事業を支える知財活動
キヤノンの前身の精機光学工業は1940年、国産初となるX線間接撮影装置「CX-35」を海軍に納入、翌年発売しました。この「CX-35」は35mmフィルムを用いた集団検診用カメラで、医療器市場への参入を果たした記念すべき製品です。放射線診断機器分野におけるキヤノンの知的財産権のうち、現在確認できる最古のものは、実用新案登録第337330号(実公昭18-008498)です。それ以降も出願を続けており、これまでになされた特許出願は2,500件を超えています。この件数からも、知財活動が医療機器事業本部の事業活動を支え続けていたことを見て取ることができます。
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1976年世界初の無散瞳眼底カメラ発売
キヤノンは1976年、世界初の無散瞳眼底カメラ「CR-45NM」を発売しました。無散瞳眼底カメラは、暗所で自然拡張する瞳孔を通じて近赤外光による観察を行い可視光で撮影します。薬剤を用いた場合と異なり、瞳孔は撮影後速やかに自然縮瞳するため、現在では一般健診の検査として高血圧や糖尿病の早期発見に広く用いられています。キヤノンでなされた近赤外光利用のピント合わせ、位置合わせに関する基本的な発明は、現在市販されている各社の無散瞳眼底カメラにも脈々と受け継がれている重要な発明です。
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2002年新デザインのフルオート非接触眼圧計の発売
非接触眼圧計は、目に向かって空気を吹きつけ、その空気の力で角膜がどれくらい変形するのかを測定し眼圧を測ります。非接触眼圧計は、その名の通り、被験者の目に直接触れる必要がないため、感染の危険性が少なく、麻酔の必要もないというメリットがありますが、空気が当たる時にわずかな衝撃があり、初めての方やお子さんに心理的な緊張感を与えていました。
この課題に対して、デザイン部門と開発部門、知財部門は密に連携しながら、被検者の圧迫感を軽減させるための形状や色を追求するなど、使用状況や心理的な面まで配慮した意匠の確立をめざしました。その結果、2003年に「グッドデザイン賞」を受賞しました。 -
2003年次世代ポータブルタイプの
X線デジタルカメラの発売ポータブルタイプのX線デジタルカメラ「CXDI-50G」は、2003年発売当時に業界最大の有効撮影範囲を備えており、キヤノン独自開発の平面センサーにより薄型、軽量化を実現し、あらゆる角度からの撮影を可能にするものでした。
デザイン面においても、患者さんの不安を低減させるため、丸みをもたせてソフトな印象を与える「外観」と、実際に操作する医師や技師にとって重要な「操作性」の両立を実現しました。信頼性と優しさを兼ね備えた外観の権利化が功を奏し、2004年に「グッドデザイン賞」を受賞しました。 -
2005年デジタルX線センサーに関する特許が
恩賜発明賞を受賞1999年に世界初のX線デジタルカメラ「CXDI-11」を発売以降、デジタルX線撮影に関する数多くの特許出願を積極的に行っています。その基本技術の一つであるMIS(Metal Insulator Semiconductor)型センサーのリフレッシュ駆動技術に関する特許第3066944号は、デジタルX線撮影の普及に大きく貢献した功績が評価され、2005年全国発明表彰の最高賞である恩賜発明賞(キヤノン史上2回目)を受賞しました。