洋服や家電製品、また、生活必需品など、新しいモノを手に入れた時に、「どうも使い勝手がよくない」「扱いにくい」「しっくりこない」といった理由で、たとえ機能やデザインがよくてもあまり使わずに終わってしまったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
カメラはもっとも使い勝手が重視される道具の一つです。
一瞬を逃すことができないプロの道具として、形、手触り、重心などのバランス、操作のしやすさ。さらに初心者の簡単にきれいに写真を撮りたいという純粋な願い。「安全」だけでなく、「安心」「満足」も「品質」としてとらえ続け、あらゆるタイプのお客さまの想いと80有余年にわたって真摯に向かい合ってきたからこその「カメラの使いやすさ」のノウハウやこだわりが、一台一台のキヤノンのカメラに詰め込まれています
使いやすさは思い込みからは生まれない
デジタルカメラの撮影の基本的な流れは、撮影前の構図決め、撮影中の操作、画像・映像確認の3つに大きく分けることができます。単に使いやすさといっても、使いやすさは千差万別で、ある人にとっての使いやすさは別の人には使いにくさとなるかもしれません。キヤノンが考える使いやすさとは、写真を撮る上でもっとも基本的な「構図を決める、シャッターを切る」を第一に考えること。シャッターの押しやすさ、電子ダイヤルの回しやすさ、ズーム操作のしやすさなどを長年にわたって改良し続けています。
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しかし、たった一つの操作を改良するときでも、開発者の「これで使いやすくなるだろう」という思い込みで結論を出すことはありません。プロフェッショナル、初心者などのユーザー別にカメラをどのように持ち、どう操作して、どう写真を撮るか、徹底的に調査し、観察して、使いやすさを追求。製品を開発している時だけでなく、発売した後もヒアリングをし続け、次の製品の使いやすさへと受け継いでいきます。
撮っているより、持っている時間が長い
持ちやすさはカメラの使いやすさに欠かせない要素です。特に一瞬を狙うような撮影では、撮っているときよりも持っているときの時間が圧倒的に長く、カメラを構えず片手で持っている状態でも疲れず、持ちやすい形にする必要があるのです。持ち方も人それぞれ。交換レンズとの組み合わせで重心の位置も変わります。もちろん、人によって手や指の大きさ、長さも千差万別です。
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キヤノンでは、品質評価部門において、さまざまな人のカメラの持ち方や操作の仕方を調べ続けています。そして、製品一つひとつを、滑りにくさ、硬さ・素材など手へのなじみも考えながら、見た目では見分けられない違いのグリップのサンプルを何十と作り、試行錯誤を重ねていきます。
そこには、少しでもフォトグラファーの負担にならないようにしたいという、キヤノンのカメラメーカーとしての想いが詰まっています。
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変えない操作性、変える操作性
キヤノンは、グリップを握り、シャッターを切るというカメラの基本動作における指の位置関係を守り続けています。これまで、長年の経験で作り上げられた、使いやすいと感じる操作性をキープすることは、キヤノンブランドに対する信頼につながると考えています。
ミラーレスカメラの特長の一つは、ボディを軽く、小さくできるということです。しかし、小さくしすぎると持ちにくくなる、操作がしにくくなるという課題も出てきます。
好評を博している「EOS R5」「EOS R6」も、高性能でありながら小型化、軽量化を果たしましたが、一つひとつのボタンについて、機能の割り当ても根本から見直し、残す残さないと議論を重ね、操作性を検証。複数の機能を一つのボタンに集約したり、タッチUIでの操作に置き換えるなどの工夫をしました。
一方で、さまざまな手の大きさの人が使えるように、グリップは一定の大きさをキープ。小さいながらも操作性を損なわない、ミラーレスならではの使いやすさを実現しています。
プロが使いやすく、初心者にも扱いやすく
キヤノンのカメラは、基本的な操作は同じに設計されていますが、カメラごとに「そのカメラをどういう人が、どのように使い、どう撮影するのか」を考えて、デザイン、操作体系を作り出しています。撮影の初心者とプロでは知識、スキルが違います。入門機とプロ機では、それぞれに適したデザイン、表示、配置などを追求し、細部にまで誰もが使いやすいと感じられるように工夫をしています。
たとえば、入門機の初期設定では初心者でもわかりやすい解説をつけ、難しさを感じにくいしくみにしていますが、慣れてきたときには上級者用の設定に切り替えることができるようにして、ユーザーのステップアップにあわせたカメラとすることができます。
また、一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark Ⅲ」、「EOS 5D Mark Ⅳ」はプロ・ハイアマチュア向けのカメラですが、スポーツ報道などでの利用が多い「EOS-1D X Mark Ⅲ」は、一脚でカメラを固定することを想定。親指をカメラの固定に使わなくてすむようになるため、親指が自由に動けるフラットなグリップを設計し、背面にあるダイヤルやコントローラーを操作しやすいように考えました。一方で、カメラ本体だけの撮影が多い「EOS 5D Mark Ⅳ」では、手持ちでの撮影を前提にホールド性の高いグリップを設計しました。
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時代によって使いやすさは進化する
ミラーレスカメラと一眼レフカメラの大きな違いの一つは、撮影の構図を確認するファインダーの違いで、ミラーレスカメラでは電子ビューファインダー(Electronic Viewfinder: EVF)を採用しています。実は、このEVF内の表示にも、使いやすさに対するこだわりがあります。
表示に使う文字や1,000個以上におよぶアイコンは、キヤノンの独自開発。使用する色、一つひとつの線の太さなどでもユーザビリティ調査を重ね、あくまでも被写体を追い続ける撮影者の邪魔にならない見やすい表示品質を追求しています。
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時代時代で、モノの使い方も変化します。使いやすさを追求するには、社会の変化やトレンドもウォッチすることも大事です。たとえば、キヤノンでは以前からタッチUIを導入していましたが、スマートフォン(スマホ)普及にあわせ、タップで拡大、指でスクロールなどスマホの一般的な操作にいち早く変更。もちろん今もスマホのバージョンアップや社会の変化に目を光らせ、「感覚的に触って期待通りに動く」品質をめざし続けています。
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マニュアルがなくても使えるカメラをめざして
カメラは何かを変えるとさまざまな要望が寄せられてきますが、「使いやすくなった」「わかりやすくなった」という声は、あまりフィードバックがありません。そのため、使い勝手をより良くしようと考えるのは、返信のない手紙を送り続けるような作業と思えることもあります。
しかし、フォトグラファーにとって、操作の迷いは致命的で、目的の操作が少しでも速くできることが何より重要であることをキヤノンは知っています。
そのために、社内テストで狙い通りの使いやすさになっているかを調べ尽くす、プロにヒアリングをする、ということをこれからもずっと続け、「撮りたいものを撮りたいように、思い通りに撮れる」ようになることをめざし、そして、「マニュアルがなくても撮れた」といわれるように研鑽を続けていきます。
コンテンツ一覧
ブランドの信頼を守るために
Vol.9
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Vol.1
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キヤノンの品質活動
品質マネジメント
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安全性への取り組み
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セキュリティ対策
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