仕事と人

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 知財部門

キヤノンマーケティングジャパン(以下キヤノンMJ)グループは、持続可能な社会の実現のために、マーケティングの力で未来を創る「未来マーケティング企業」を宣言し、社会的存在意義を定めたパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を制定しました。キヤノンMJグループは、日本国内を中心にキヤノン製品事業とITソリューション事業を組み合わせたマーケティング活動とソリューションの提供を行っており、社会課題解決の領域を広げ続けています。キヤノンMJ知財部門は、グループ全体の知財部門としての役割を担っており、ワンストップで各社からの相談や検討依頼に対応しています。特にお客さまへ付加価値と安心を提供するため、ソリューション開発や研究開発の成果物を適切に保護する特許権などの取得、およびブランディングの観点から商品のネーミングの支援を行うなど、差別化戦略を実行しています。また、第三者の特許権・商標権・著作権(オープンソースソフトウェア含む)の権利調査(クリアランス)も実施することで、リスクヘッジを徹底しています。
さらに、新規事業の創出およびM&A・出資に貢献する活動を通じて、事業領域の拡大を知財面から支えています。

お客さまを理解することから始まる出願権利化活動

キヤノンMJグループは、お客さまとの距離が近いことが大きな特徴です。そのため、キヤノンMJグループにおける多くの仕事は、お客さまの声に耳を傾けることから始まります。
キヤノンMJグループが出願する特許の発明者には、開発以外の部門(営業部門など)の社員が約20%含まれています。これは、お客さまの期待に応えるためのソリューション創造活動に、営業から開発まで全社を挙げて取り組んでいる証(あかし)です。
知財部門のメンバーは、開発部門だけでなく営業部門や商品企画部門からも、お客さまの業務内容/困っていること/望んでいることについて丁寧にヒアリングし、お客さまの真の課題の理解に努めます。

注力事業の一つ、ネットワークカメラシステムの前でディスカッション

そして、知財部門のメンバーは、技術だけでなく市場や社会動向も把握し、各部門のメンバーとともにディスカッションすることで、お客さまの真の課題を捉え、その課題を解決するアイデアについて特許出願・権利化を行っています。また、取得した特許について、社内外の表彰などを用いて発明を推奨するとともに、特許を活用した事業貢献を進めています。
また、お客さまのビジネスでの活用がさらに進むAI関連技術については、積極的に発明を発掘して特許出願を増やし、商品・サービスの競争力を高める特許網の構築に取り組んでいます。
これからも、キヤノンMJ知財部門は、お客さまを起点とした知財活動を続けていきたいと考えています。

新規事業創出およびM&A・出資に貢献する知財活動

キヤノンMJ知財部門は、知的財産権の取得という枠を超え、広く知的財産の創造に関わる活動において活躍し、会社に貢献することをめざしています。その一つとして、2019年に新規事業推進を目的とする組織を立ち上げました。知財部門のメンバーがこれまでに培ったスキル(製品・知財情報の把握、技術のレベルや将来性の評価など)を生かして新規事業創出およびM&A・出資に貢献するという狙いをもって取り組んでいます。
具体的には、知財部門のメンバーは先進技術領域のマップ化と高成長が望める領域の特定、知財視点を生かした投資先/協業先候補の抽出などを行っています。このようにして、投資戦略および事業戦略に貢献し、キヤノンMJグループの持続的成長を支えるための活動を行っています。

先進技術領域について議論する様子

また、2024年に発足した、R&B(Research & Business Development)機能の専門組織が取り組むスタートアップへの出資や新規事業創出を支援するため、対象となるスタートアップの技術力・競争力を知財視点で調査したレポートを作成する活動を行っています。
さらに、協業を進めるスタートアップなどに対する知財支援を行う体制も整備しています。
キヤノンMJ知財部門はこれらの活動を通じて、知財の力を最大限に活用し、キヤノンMJグループの持続的な競争力の強化に貢献していきます。

業務DXの推進

キヤノンMJ知財部門は、時には、知的財産という枠を超えて事業を支援することもあります。
たとえば、事業部門からの相談や依頼に対応するにあたり、迅速な対応はもちろんのこと、依頼する事業部門側の負担を軽減するための、さまざまな業務のDXの推進にも取り組んでいます。
具体的には、各種依頼や申請のために事業部門が利用する新しいツールの導入や、それらをグループ会社で統一して利用できるような運用の整備、業務改革を行っており、業務のDXによる効率化を進めています。このような業務を通じて、営業部門、開発部門、さらにはグループ会社が本業に専念できる環境を整えることも私達の考える大切な事業支援です。

おわりに

キヤノンMJ知財部門は、パーパスの実現に向け、時代の変化を先読みした知的財産活動を続け、キヤノンMJグループの持続的な成長を支えていきます。

(2025年7月)