仕事と人

キヤノンUSA 知財部門

ローカルメンバーと駐在員の強い結びつき

キヤノンUSAの知財部門は、ニューヨーク州・メルビルおよびカリフォルニア州・アーバインに拠点を置き、ローカルメンバーと駐在員で構成されています。キヤノン株式会社のアメリカにおける特許取得代理業務と、キヤノンUSAおよびアメリカ域内のキヤノングループ会社から生まれる新規ビジネスを保護するため、各プロジェクトの発展段階に応じた知財活動を行っています。2021年には、本知財部門が権利化を行った特許登録件数は1176件に上り、全米の全企業内の知財部門として1位を獲得しました
*:https://harrityllp.com/services/patent-analytics/top-patent-firms-2021/(外部サイトへ)

知財スタッフが成長できる場

ローカルメンバーは、開発部門やクライアントなど、さまざまな部門との密なやり取りを通じ、ビジネスに紐づいた特許取得活動を行っています。その中で特許法務の枠を超え、自らの仕事の幅を広げることができます。
駐在員は、広い業務範囲に挑戦するチャンスを与えられます。たとえば、特許権利化の専門家が技術契約を担当する、技術契約の専門家が人権問題などの一般法務を担当するなど、自らのもつ専門性をベースに各自の業務範囲を広げています。また、特許権利化の専門家が特許権利化業務を行う際にも担当する技術範囲が大きく広がります。さらに、デューデリジェンスなど特許活用の場面にまで業務が及ぶこともあります。このように、業務範囲の広がりにより、日夜苦労しながらも、常に自らの成長を感じつつ業務にあたることができます。

  • ローカルメンバー

    重要件では、我々と駐在員がチームを組んで審査官面接を行い、大きな成功を収めています。駐在員がキヤノン(株)の知財部門との間に入ってくれることで、チームワークが高まり、強力な特許を生み出すことができます。

  • 駐在員

    自分が不得意な技術分野の案件で、キヤノン(株)とキヤノンUSAの橋渡しをするのは想像以上に高い壁でした。でも、自分のスキルとローカルメンバーの知見を合わせて、キヤノン(株)の要望を叶えた時の達成感はひと味違いますね。

  • 駐在員

    赴任早々、容赦のない仕事量と業務範囲に驚き、これがビジネスの前線で働くということか…!と実感しました。いまではいろいろな部門のスタッフから日々さまざまな法律相談を受けて、頼ってもらえることにやりがいを感じています。

  • 駐在員

    人権問題、AI、個人情報など、知財以外の「未知」のお仕事が降りかかってきました。大変ですが、とにかく笑って、泣いて、食べての毎日ですね。

  • 駐在員

    赴任前は権利化の業務ばかりだった私が、まさか赴任早々、他社との共同開発のためのデューデリジェンスに携わることになるとは思ってもいませんでした。

特許弁護士による仕事紹介

前職からキヤノンUSA 知財部門へ

2014年のことですが、米国特許取得数年間第3位の地位を長年維持する企業の特許弁護士を務める機会を得た時、私は本当に興奮したことを思い出します。私のキヤノンでのキャリアはキヤノンUSAの子会社のエンジニアをサポートすることから始まりました。法律事務所とキヤノンでの仕事の大きな違いの一つは、知財弁護士がビジネスプロセスに真に組み込まれていることだと思います。法律事務所では、クライアントのビジネス戦略と個別の知的財産の関係性についてクライアントから断片的な資料を受け取ることがよくあります。それも面白いことではあるのですが、さまざまある知的財産が互いにどのように関連しているのかを常に把握できるわけではありません。一方キヤノンにおいては、知的財産がビジネス保護やリスク軽減といったビジネスに不可欠な要素であることを明確に感じられます。キヤノンUSAでは、知財部門、法務部門、およびさまざまな事業部門間が真のチームワークを発揮し、顧客のニーズを確実に満たしています。このチームの中でキヤノンの事業推進に貢献していることを感じられることは素晴らしいことです。

Jesse Bucholtz
Senior Patent Counsel

法務部門、開発部門との連携

私は法務部門の多くのメンバーとも親密な関係を築いており、事業部門が新しいプロジェクトを法務部門にもちかけてきた際は、私にも連絡が入ってきます。知財部門、法務部門、事業部門の三者が早い段階で交流することにより、新しいビジネスに対して知的財産権を確保し、新製品の発表に伴うリスクを軽減しています。

AMLOSとの出会い

キヤノンUSAのエンジニアが自社開発したプロジェクトで、キヤノン製のイメージング製品とサードパーティーのテレビ会議システムを連携させた全く新しいソリューション(後にAMLOS:Activate My Line of Siteと呼ばれるようになる)の提案がありました。このプロジェクトには、継続的に対処が必要な複雑な知財問題が含まれていました。私は、設計の初期段階から事業部門と協力することにより、AMLOSの各技術分野に係る自社・他社の俯瞰的な知財動向を把握することができました。これがこのプロジェクトに携わる中で最も重要なコア知識となり、私は、キヤノンUSAの知財マネージャーと協力しながら、この新しいビジネスを保護するために特許ポートフォリオを構築するとともに、他者の特許を尊重するための技術的方策を講じることができました。
このプロジェクトでは多くのサードパーティーとのやり取りがあり、いかにビジネスに必要な知的財産を確保するかが難しかったのですが、私の法務部門との緊密な関係を活かし、乗り越えることができました。

Hey, Jesse Good job!!
Take care

キヤノンUSA 知財マネージャー
Sivon Kalminov

駐在員との連携

キヤノン(株)の駐在員は私の日常業務において重要な役割を担っています。AMLOSプロジェクトでは、"Kenta"(健太)と手を取り合いながら、知財に関する要望をサポートしてきました。このソリューションの開発には、短期間でタスクを完了するアジャイル開発が採用されましたが、このスピード感は、知財活動にとっては極めてチャレンジングなものでした。というのも、知的財産権の取得プロセスは、発明の見極めや最終製品のリスク軽減のために、比較的スローペースで進むことが多いからです。私とKentaはエンジニアと隔週でミーティングを行いこのソリューションのどの側面を知財で保護できるか評価し、開発スピードに合った知財活動を行うことができました。
アジャイル開発により知財で保護したい技術が生まれると、Kentaは駐在員のエンジニアと問題を解決するためのソリューションについて話し合い、その情報を優れた英語に翻訳してくれます。私達は、キヤノン(株)の特許エンジニアとして培われた彼の能力と、アメリカの特許弁護士としての私の能力を用いて、キヤノンUSAの知財権をどのように保護するのが最善かを議論しています。私は、Kentaやほかの知財駐在員達から専門的かつ文化的に学び続けています。彼らのおかげで、私はより良い知財のプロフェッショナルになることができたと感じます。

最後に

2022年にラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、開発中のAMLOSソリューションが正式にデモンストレーションされました。このCESに向けて、ポートフォリオを構築し、サードパーティーに対抗する権利の確保をしてきました。このデモンストレーションは、多くの関係者が1年半以上かけて取り組んだ晴れ舞台でした。私はこのショーにおいて、この新製品開発に対する世間からの好反応を直接見ることができたことを誇りに思います。
キヤノンUSAの知財部門で働くことで、さまざまな専門分野をもつメンバーから成るチームの一角を担う能力を得ることができました。また、ベンチャービジネスの成功に何が必要かということと、知財活動がこのプロセスの重要な一部であることを真に理解できました。私は、ビジネスの成功を確固たるものにするための知財サポートを任されていることを光栄に思います。

(2022年9月30日現在)