仕事と人
キヤノンUSA 知財部門
ローカルメンバーと駐在員の強い結びつき
Canon U.S.A., Inc.(以下、キヤノンUSA)の知財部門は、ニューヨーク州・メルビルおよびカリフォルニア州・アーバインに拠点を置き、ローカルメンバーと駐在員で構成されています。キヤノン株式会社のアメリカにおける特許取得代理業務と、キヤノンUSAおよびアメリカ域内のキヤノングループ会社から生まれる新規ビジネスを保護するため、各プロジェクトの発展段階に応じた知財活動を行っています。2024年には、キヤノンUSAの知財部門が権利化を行った特許登録件数は1076件に上り、企業内の知財部門として全米で1位を獲得しました。*。
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知財スタッフが成長できる場
ローカルメンバーは、開発部門やクライアントなど、さまざまな部門との密なやり取りを通じ、ビジネスに紐づいた特許取得活動を行っています。その中で特許法務の枠を超え、自らの仕事の幅を広げることができます。
駐在員は、広い業務範囲に挑戦するチャンスを与えられます。たとえば、特許権利化の専門家が技術契約を担当する、技術契約の専門家が人権問題などの一般法務を担当するなど、自らのもつ専門性をベースに各自の業務範囲を広げています。また、特許権利化の専門家が特許権利化業務を行う際にも担当する技術範囲が大きく広がります。さらに、デューデリジェンスなど特許活用の場面にまで業務が及ぶこともあります。このように、業務範囲の広がりにより、日夜苦労しながらも、常に自らの成長を感じつつ業務にあたることができます。
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ローカルメンバー
重要件では、我々と駐在員がチームを組んで審査官面接を行い、大きな成功を収めています。駐在員がキヤノン(株)の知財部門との間に入ってくれることで、チームワークが高まり、強力な特許を生み出すことができます。
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駐在員
特許権利化に留まらず技術契約や特許活用に関する業務も行っており、仕事の幅が大きく広がりました。ニューヨークだけでなく、開発拠点のあるボストンやバージニアに赴き、ローカルメンバーと知財戦略について議論を行っています。ローカルメンバーとのコミュニケーションを通じて業務を成功に導いたときには大きな達成感を味わうことができます。
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駐在員
私が担当する模倣品対策活動は成果が見えづらいものですが、この活動のビジネスへの貢献を見える化し、社長賞を受賞できたことが自信になりました。キヤノンUSA知財部門の事務系の駐在員の業務の幅は広く、ローカルの弁護士へ相談を行うことや、関連部署とこまめにコミュニケーションをとり、仕事の質を高めています。
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駐在員
人権デューディリジェンス、AI倫理対応、個人情報保護対応など、法務系に加えて知財系の業務まで広く経験させてもらっています。中南米および米国の各州で異なる法律が制定されているため大変ですが、とにかく食らいつくをモットーに日々の業務に励んでいます。
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駐在員
日本に所在するキヤノン(株)からの米国法律・判例や実務に関する問い合わせ対応をすることが多いです。自分の専門外の技術分野においてローカルの弁護士の仕事をサポートをするためには、高い英語力と技術理解力が必要です。難しい業務ではありますが、外国で働くことは入社時からの目標でしたので、とてもやりがいを感じています。
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駐在員
日本はもちろん、ヨーロッパ・アジア・オセアニア等、世界各地のキヤノングループ会社や特許事務所と連携して、事務管理の改善・効率化を図っています。
世界を舞台に活躍するという学生の頃の夢を実現できているのはとても嬉しいです。
特許弁護士による仕事紹介
前職からキヤノンUSA 知財部門へ
2014年のことですが、米国特許取得数年間第3位以内の地位を長年維持する企業の特許弁護士を務める機会を得た時、私は本当に興奮したことを思い出します。私のキヤノンでのキャリアはキヤノンUSAの子会社のエンジニアをサポートすることから始まりました。法律事務所とキヤノンでの仕事の大きな違いの一つは、知財弁護士がビジネスプロセスに真に組み込まれていることだと思います。法律事務所では、クライアントのビジネス戦略と個別の知的財産の関係性についてクライアントから断片的な資料を受け取ることがよくあります。それも面白いことではあるのですが、さまざまな知的財産が互いにどのように関連しているのかが必ずしも明確ではありません。一方キヤノンにおいては、知的財産がビジネス保護やリスク軽減といったビジネスに不可欠な要素であることを明確に感じられます。キヤノンUSAでは、知財部門、法務部門、およびさまざまな事業部門間が真のチームワークを発揮し、顧客のニーズを確実に満たしています。このチームの中でキヤノンの事業推進に貢献していることを感じられることは素晴らしいことです。

Senior Patent Counsel
法務部門、開発部門との連携
私は法務部門の多くのメンバーとも親密な関係を築いており、事業部門が新しいプロジェクトを法務部門にもちかけてきた際は、私にも連絡が入ってきます。知財部門、法務部門、事業部門の三者が早い段階で交流することにより、新しいビジネスに対して知的財産権を確保し、新製品の発表に伴うリスクを軽減しています。
私たちの役割
キヤノンUSAの知財部門は、キヤノン(株)のアメリカにおける特許取得代理業務と、キヤノンUSAおよびアメリカ域内のグループ会社から生まれる新規ビジネスを保護する知財業務を行っています。つまり、インハウス知財部でありながら、特許事務所と同様のサービスも提供しています。
キヤノングループをサポートするインハウスの特許事務所は、グループ内のコミュニケーションを通じてより効率的に物事を進めることができます。これは我々のアドバンテージです。緊密なコミュニケーションは、キヤノングループの特許を取得する際、キヤノン(株)の意図を直接把握した上で迅速に行動することを可能とします。
また、インハウス知財部としては、初期段階から事業部門と連携することにより各プロジェクトに合った知財活動を遂行しています。私は、新たなビジネスイニシアチブを保護するための特許ポートフォリオを構築し、技術的方策をアドバイスすることで事業部門の目的達成に貢献しています。

Sivon Kalminov
駐在員との連携
キヤノン(株)の駐在員は私の日常業務において重要な役割を担っており、駐在員と手を取り合いながら日々の業務を遂行しています。駐在員と緊密に業務することは、私およびキヤノンUSAの知財部門の他の特許弁護士がキヤノングループのための特許権を取得する際に効果的なサポートとなります。
キヤノンUSAで米国発のイノベーションをサポートする際も、駐在員との緊密な連携がさらなる利点となります。キヤノンUSAの開発には、短期間でタスクを完了するアジャイル開発が採用されることがあります。このスピード感は、知財活動にとっては極めてチャレンジングなものでした。というのも、知財活動は、発明の見極めや最終製品に関連するあらゆるリスク軽減など検討事項が多岐にわたるためです。私と駐在員はエンジニアと密にコミュニケーションを取ることで、新規発明を早期に発掘し、開発されたソリューションの特許になりうる側面を継続的に評価します。キヤノンUSAの知財部は駐在員チームの協力を得て、開発スピードに合った知財活動を実現しています。
私達は、特許エンジニアとして培われた彼らの能力と、アメリカの特許弁護士としての私の能力を用いて、キヤノンUSAの知的財産権をどのように保護するのが最善かを継続的に議論し、強固な特許ポートフォリオの形成に尽力しています。
駐在員達と連携して業務を行うことでキヤノン知財DNAがキヤノンUSAの知財部に浸透し、彼らのおかげで、私はより良い知財のプロフェッショナルになることができたと感じます。
最後に
キヤノンUSAの知財部門で働くことで、さまざまな専門分野をもつメンバーから成るチームの一角を担う能力を得ることができました。また、ベンチャービジネスの成功に何が必要かということと、知財活動がこのプロセスの重要な一部であることを真に理解できました。私は、ビジネスの成功を確固たるものにするための知財サポートを任されていることを光栄に思います。
(2025年3月現在)