野鳥写真図鑑

ハシボソガラス

スズメ目カラス科 全長約50cm

絞り:F8|シャッタースピード:1/1250秒|ISO:500|露出補正:0|焦点距離:700mm|ミラーレスカメラ(フルサイズ)|撮影地:三重県

ユーラシア大陸に広く分布するが、日本では九州より北にしかいない。ハシブトガラスより少し小さく、くちばしは細め。額がなだらかで、鳴き声は濁る(ハシブトの声は、通常は濁らない)。農地や河原のような開けた環境を好み、ハシブトをよく見る山地や林内、都市部では少ない。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

ハシブトガラスとどう違う?

初めの一歩は難しい

黒いカラスにはよく似た種が多いために混同されがちですが、季節を問わず身近にいるのはハシブトガラスとハシボソガラスだけです。そこで、この2種を見分けることは「野鳥を見分ける初めの一歩」とか、「これが分かれば一人前」とか言われます。大きさ、くちばし、額の形が見た目での識別のポイントですが、微妙な違いなので、ここでつまずく人もいるでしょう。
声の違いは分かりやすく、鳴き方も違います。ハシボソが鳴くときは、上の写真のようにお辞儀をするような動作を伴います。歩き方にも違いがあり、ハシブトはよくホッピング(スズメのように両足を揃えて跳ねるように移動する)しますが、ハシボソは通常、ウォーキング(ムクドリのように足を交互に出す)で歩きます。種が違う場合は、競合しないように暮らし方にも違いがあるので、このような歩き方の違いは、それぞれが好む環境と関係しているものと思われます。

ハシボソガラス相互羽繕い 2羽が互いに羽繕いをするようすが秋冬でも見られるので、繁殖が終わってもペアの関係が継続している可能性がある(野鳥のつがい関係は、繁殖期だけの種が多い)。

ハシブトガラスより賢い?

水道の栓をひねって水を飲むカラスが話題になりましたが、神奈川県横浜市でその時に観察されたのはハシボソガラスでした。クルミや貝を空中から固い地面に落として割る、自動車にクルミの実をひかせて中身を食べるなど、賢いように見える行動の多くはハシボソで観察されています。ハシブトではどうなのでしょうか?
「電線にぶら下がって遊ぶカラス」が話題になったこともありました。各地で撮られた写真を見ると、種がわかる写真はすべてハシボソガラスでした。では、ハシブトは電線にぶら下がることはないのか?と気にかけていたら、東京や北海道でハシブトの観察例もありました。ただ、ぶら下がってなにをしているのか?本当に遊んでいるのか?なぜハシボソのほうがよく見られるのか?などについては、詳しく研究されていません。種が違えば習性も違うことはあまり知られておりませんし、そもそも2種を識別できる人が少ないという問題もあります。

ミヤマガラス 大陸から飛来する冬鳥で、水田が広がる地域では大群になる。ハシボソガラスとの識別には、鼻の穴に注目するとよい(上嘴基部にある鼻孔が羽毛に覆われて見えないことがカラス科の特徴だが、本種は例外)。
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