ケリ
チドリ目チドリ科 全長約36cm
中国やモンゴルの一部で繁殖し、中国南部などで冬を越す。日本では東北から近畿の水田で繁殖するほか、各地の湿地で春や秋に見られることもあり、冬を越すものもいる。飛ぶと白と黒のコントラストが鮮やか。「キッ、キッ、キリッ」などと鋭い声で鳴く。
※鳴き声が再生されます。
限られた分布、大型チドリの共通点
なぜか東海地方に多い
関東に住んでいる野鳥好きのなかには、東海道新幹線などで関西方面に出向くことを楽しみにしている人が少なくないはず。筆者もその一人ですが、東海地方の水田地帯を通過するときにケリがよく見られるからです。飛ぶとツートンカラーで遠方からでもよく目立ち、繁殖期以外は10羽前後の群れで飛ぶことが多いので、超特急で走っている新幹線からも、肉眼でケリとすぐにわかります。
日本で見られるチドリ科では最大ですが、地上にいると白色部が腹の一部だけしか見えないので案外気づきにくく、東海地方以外では局地的で、季節も限られることが多いようです。
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親指の有無と、名前の由来
鳥類の多くは前向き3本、後ろ向き1本の三前趾足(さんぜんしそく)ですが、チドリは「趾(あしゆび)が3本しかない」と書いてある図鑑もあります。確かにコチドリなどチドリ科の小型種は後ろ向きの趾(第1趾(し)。後趾(こうし)とも呼ばれ、人では親指にあたる)がないのですが、ケリやタゲリのような大型種は小さいながら後ろ向きの趾があります。
ケリもコチドリのような擬傷が観察されたことがありますが、ケリが多い東海地方では繁殖期は気性が荒い鳥と言われていて、巣に近づくカラスや犬、人にさえ上空から急降下して威嚇することがあります。その際、「キッ、キリッ」などと聞こえる声はより鋭くなり、この鳴き声が「ケリ」という名の由来とされています。
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