野鳥写真図鑑

ミサゴ

タカ目ミサゴ科 全長約58~60cm

絞り:F9|シャッタースピード:1/2500秒|ISO:640|露出補正:0|焦点距離:500mm|一眼レフカメラ(フルサイズ)|撮影地:愛知県

海岸や大きな河川、湖沼の上を飛んでいることが多く、水面に飛び込んで魚を捕らえる。体はハシブトガラスくらいだが、細長い翼を広げた翼開長は1.5メートルを超え、トビに近いサイズとなる。トビとの識別点としては、ミサゴは腹や翼下面が白く、尾が短い。「ピョッ、ピョッ、ピョッ」などと鳴く。

鳴き声(飛翔中)

※鳴き声が再生されます。

飛び込みの名手

コスモポリタンな猛禽

国や民族にとらわれない人を「コスモポリタン」と呼ぶことがありますが、動植物では広く分布している種を意味します。小鳥ではヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカ大陸と広い分布域があるツバメが代表です。猛禽類でもハヤブサとミサゴは世界各地に広く分布しているので、コスモポリタンと言えますが、ツバメと同じように北米で繁殖するものは南米で、ヨーロッパで繁殖するものはアフリカで冬を越すような渡りもしています(ただし、近年、オーストラリアのミサゴを別種とする説が支持されるようになってきました)。

ホバリングするミサゴ ハチドリが蜜を求める際のホバリングはよく知られているが、ミサゴも、空中から水面近くの魚を探し、狙いを定める際に、空中の一点に留まるような飛び方をする。ミサゴの英名「オスプレイ」が航空機に使われたのは、この飛び方に由来する。

細長い翼のワケ

ミサゴは2012年に、タカ科から独立してミサゴ科とされました。その理由の一つが趾(あしゆび)の構造です。タカの仲間は狩りをする習性から鋭い爪をもっているものの、趾は鳥類の多くがそうであるように前向き3本、後ろ向き1本です。キツツキやカッコウなど前向き2本、後向き2本(対趾足(たいしそく))という仲間もいますが、ミサゴはフクロウ類とともに、前3後ろ1にも、前2後ろ2にもできます(可変対趾足)。
タカ科には大きくて翼が広く、ワシと呼ばれる種もいます。日本ではオジロワシやオオワシがいて、彼らも飛び込んで魚を捕らえようとすることがあります。しかし、魚の狩りは、ミサゴのほうが巧み。なぜなら、ワシはザブンと飛び込んでしまうと翼が水面にベタッと広がったまま、飛び立てなくなってしまうことがよくあるのです。ミサゴは体が水没したとしても、その後、水上に飛び出して舞い上がっていきます。その際、細く長い翼の形状が有利に働いているものと思えます。

ミサゴの狩り 魚めがけてダイブ。くちばしで魚を捕らえるカワセミは頭から飛び込むが、タカに近いミサゴは脚を突き出す。
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