サンコウチョウ
スズメ目カササギヒタキ科 全長 オス:約44.5㎝ メス:約17.5㎝
オスはさながら森の妖精
長い尾で渡る?
長い尾をはためかせて茂みの中を舞うオス、薄暗い林内でさえ、鮮やかに見える嘴や眼の周りのコバルトブルーなど、誰でも一目見たいと思うでしょう。春と秋の渡りの時期には身近な公園などの緑地を通過することもありますが、茂みの中にいるのでその優美な姿を見るのはなかなか大変です。春の渡りの際はオスがさえずるので気づきやすいものの、早朝を過ぎるとあまりさえずりません。
「海を渡る際に長い尾は落とすに違いない」という方もいますが、春の飛来当初から長く、秋に渡る直前のオスを見たらやはり長く、海上で渡り途中のオスを見た方によると長い尾だったそうです。

かつては身近な鳥?
昭和13年に中西悟堂が著した『野鳥ガイド』では、村落、耕地水辺、渓谷、山林などの環境ごとに野鳥が紹介されていました。そこでヒヨドリやキジバトは山林でしたが、サンコウチョウはシジュウカラやムクドリなどとともに村落の鳥、いわば身近な鳥に区分されていました。
当時、中西が住んでいた都下、善福寺では、近くの民家の庭で繁殖しており、昭和29年にポプラ社から発行された『日本の鳥』で中西は、巣作りの観察を紹介しています。コップ型の巣の外装として、クモの糸でウメノキゴケを貼りつけますが、クモの糸を集めるためにクモの巣に飛び込んで糸を自身の体にはりつけるのだそうです。

もっと知りたい!:鳥の巣のヒミツ
鳥の巣にはいろいろな形があります。ちょっと深いカップのような巣があったり、ツボのような巣があったり、大きさも材料もさまざまです。ほかの鳥がどんな巣をつくるのか見てみましょう。
