野鳥写真図鑑

サンコウチョウ

スズメ目カササギヒタキ科 全長 オス:約44.5㎝ メス:約17.5㎝

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/500秒|ISO:6400|露出補正:0|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

夏鳥として、本州以南で低地から山地のよく茂った林に飛来する。体はスズメサイズだが、尾が長いので全長の数字は大きい。林の上部の茂った空間を好み、ヒタキ類のキビタキオオルリのように主に飛んでいる虫を食べる。

さえずり
地鳴き

※鳴き声が再生されます。

オスはさながら森の妖精

長い尾で渡る?

長い尾をはためかせて茂みの中を舞うオス、薄暗い林内でさえ、鮮やかに見える嘴や眼の周りのコバルトブルーなど、誰でも一目見たいと思うでしょう。春と秋の渡りの時期には身近な公園などの緑地を通過することもありますが、茂みの中にいるのでその優美な姿を見るのはなかなか大変です。春の渡りの際はオスがさえずるので気づきやすいものの、早朝を過ぎるとあまりさえずりません。
「海を渡る際に長い尾は落とすに違いない」という方もいますが、春の飛来当初から長く、秋に渡る直前のオスを見たらやはり長く、海上で渡り途中のオスを見た方によると長い尾だったそうです。

サンコウチョウ(メス) 背や尾の上面は茶色。オスほど尾が長くなく、嘴や目の周りの色もオスほど鮮やかではない。

かつては身近な鳥?

昭和13年に中西悟堂が著した『野鳥ガイド』では、村落、耕地水辺、渓谷、山林などの環境ごとに野鳥が紹介されていました。そこでヒヨドリやキジバトは山林でしたが、サンコウチョウはシジュウカラムクドリなどとともに村落の鳥、いわば身近な鳥に区分されていました。
当時、中西が住んでいた都下、善福寺では、近くの民家の庭で繁殖しており、昭和29年にポプラ社から発行された『日本の鳥』で中西は、巣作りの観察を紹介しています。コップ型の巣の外装として、クモの糸でウメノキゴケを貼りつけますが、クモの糸を集めるためにクモの巣に飛び込んで糸を自身の体にはりつけるのだそうです。

中西悟堂 著、山下史人 絵 『日本の鳥(上)』ポプラ社 1954年 クモの巣に飛び込むオス(イラスト)

もっと知りたい!:鳥の巣のヒミツ

鳥の巣にはいろいろな形があります。ちょっと深いカップのような巣があったり、ツボのような巣があったり、大きさも材料もさまざまです。ほかの鳥がどんな巣をつくるのか見てみましょう。

鳥はどんな巣を作るの?
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