ツミ
タカ目タカ科 全長約27~30cm
本州以北で繁殖し、秋冬は西日本でも見られる(南西諸島の亜種は一年を通して見られる)。日本最小のタカで、メスでもハトサイズしかなく(オスが小さいのはタカ科に共通)、おもにスズメサイズの小鳥を狩る。1980年代から関東などでは住宅地でも繁殖するものがいる。繁殖期には「ピョーピョーピョピョピョ」と伸ばしてから尻下がりになる声でよく鳴く。
※鳴き声が再生されます。
町でも見られる、日本最小のタカ
ツミ夫婦VSカラス夫婦
通勤途中、神社から聞こえてくるツミの声が止みません。見ると、ハトより小さいオスのツミが、ふたまわりは大きなハシブトガラスに突進を繰り返しています。カラスが劣勢になるともう一羽のカラス(恐らくオスに続いてメス)が加勢して、ツミが負けそうになりました。しかし、今度はメスのツミが境内のアカマツにあった巣から飛び出してきて、4羽で羽根が飛び散る激しい争いになりました。後でわかったのですが、アカマツから35m離れたスダジイの木では、カラスもヒナを育てていたのです。通勤時に観察を続けたところ、やがてツミもカラスも争いを控えてそれぞれの子育てに集中するようになり、1か月ほど後、カラスは2羽、ツミは1羽が巣立ちに至りました。
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猛禽類の都市化とカラスの抑止力?
タカの仲間のヒナは、孵化後しばらくはメスによる保温が必要で、オスがたくさんの餌を運んで来なくてはなりません。それでもエサとなる小鳥のヒナが巣立つ頃は、動きが鈍い巣立ち直後の幼鳥を狙うことで、狩りの成功率は比較的高いようです。前述のツミが繁殖した神社で落ちていた羽根(親鳥がヒナに与える前に羽根をむしったもの)を拾い集めたら、スズメの幼鳥の羽根が洗面器2杯分を超えました。
カラスの横で繁殖を続けたツミ夫婦には翌年も期待していましたが、次の年はハシボソガラスに追いかけ回され、繁殖に至りませんでした。ツミ、オオタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、フクロウなど猛禽類の都市化が話題になりますが、目立つほどに増えていないのは、カラスが抑止力となっているのかもしれません。
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