野鳥写真図鑑

ウソ

スズメ目アトリ科 全長約15.5cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/100秒|ISO:800|露出補正:-2|焦点距離:500mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:山梨県

ユーラシア大陸に広く分布し、日本では本州中部以北、高い山の針葉樹林で繁殖する(北海道では低地でも)。秋冬は各地の低山から山地の林で見られ、数羽の小群でいることが多い。オスは頬が赤い。くちばしが太め、短めなことは、種子食のアトリ科のシメカワラヒワにも共通する特徴。

地鳴き
さえずり

※鳴き声が再生されます。

少し赤いウソから真っ赤なウソまでいる

名前の由来は「嘘」ではない

鷽替え神事(うそかえしんじ)は、ウソをかたどった木彫りの鳥を交換しあったり、神官が参詣人の古い木彫りを別のものに引き替えたりする行事。前年の不幸を嘘(うそ)にし、吉運に変えるなどといわれています。その背景には、学問の神様として知られる菅原道真(すがわらのみちざね)が、遭難した海上で、船の先にとまったウソに助けられたとか、ウソが蜂に襲われた参詣人や道真を助けたなど、さまざまな伝承があるようです。
ウソの名前の由来は「嘘・本当」のうそではなく、口笛を意味する古語「うそ」とされています。ウソの鳴き声は普段聞く機会の多いヒヨドリの「ヒーヨ」と比べると、少し低め、弱めでやわらかい感じがして、まさに人の口笛にそっくりです。

ウソ(メス) メスの頬は赤くないが、黒いベレー帽をかぶったような模様と、飛ぶと腰が白く見える点はオスと共通している。

真っ赤なウソはどこからやってくる?

秋冬には全国各地で見られるウソですが、年によって数や見られる地域や期間などが違います。高山から低山へ移動するウソだけでなく、中国やロシア、北海道で繁殖し南下するものもいるようで、気候や食物などに応じた不規則な移動をしているのでしょう。
ウソが多い冬は低地でも見られ、その中には胸から腹まで赤いオスもいます。赤いオスには日本より北方で繁殖する亜種アカウソが多いようですが、稀にカムチャッカなどで繁殖するとされる亜種ベニバラウソも混じるようです。ヨーロッパの亜種もオスは腹まで赤く、亜種は違っても同じ種なので交雑の可能性もあり、亜種はわかりません。いずれにせよ、腹まで赤いウソがいたら、それは北方から海を越えて渡ってきたウソでしょう。

補足:種は遺伝的に独立しているとされ、別種同士では交配しないのが普通。亜種は種以下の分類単位で、同種内で地理的な違いから姿形に違いが生じた場合などに亜種で分けることがある。

亜種アカウソ(オス) 秋冬に見られるウソの中には、頬から下の腹まで赤いオスがいる。赤味の濃いものや薄いもの、赤い範囲もさまざまだが、いずれも日本より北で繁殖する別の亜種と考えられる。

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