仕事と人
アクシスコミュニケーションズ 知財部門
Axis Communications(以下Axis)では、イノベーションは単なる目標ではありません。会社の活動全てを推進する原動力です。最先端の監視技術からスマートで安全な都市づくりまで、Axisのエンジニアたちは人々の生活を向上させ、安全な未来を築くための現実世界のソリューションを創造しています。そして、イノベーションを実現する素晴らしいアイデアを保護するのが知的財産(IP)部門です。この小さな専門チームは、Axisのイノベーションの未来を守るという大きな責任を担っています。

戦略的な使命を持つ小さなチーム
スウェーデンのルンドを拠点とするAxisのIPチームは、特許や意匠の出願、商標登録から、著作権、ドメイン名戦略、法的紛争にいたるまで、知的財産全般を管理しています。
彼らの役割は重要です。イノベーションを保護することで、Axisの競争優位性を確保しています。また、IPチームはエンジニアと密接に協力し、技術的な概念を長期的なビジネス目標を支える強力な法的資産に変換しています。

イノベーションを支える体制づくり
イノベーションはAxisのDNAの核であり、それは戦略的な投資によって支えられています。Axisは年間売上の約18%を研究開発に再投資しており、スウェーデン最大級のR&D組織を形成しています。約2,000人のエンジニアがスウェーデン、フランス、チェコ共和国、中国の拠点で研究に励んでいます。
Axisにて行われるすべてのプロジェクトが「安全性の向上」、「運用効率の改善」、「スマートインフラの構築」に大きく貢献しています。R&Dエンジニアたちは、法執行機関、ヘルスケア、交通機関、小売業などの分野で安全性を強化する高度な監視製品とソリューションを開発しています。Axisは何百万人もの生活を向上させる技術で業界をリードしています。
このエコシステムでは、IPチームが中心的な役割を担っています。1990年代に初めて特許を登録して以来、Axisは世界中で約2,000件の発明に関して特許を取得してきました。Axisはスウェーデンの特許出願数ランキングで常に上位に位置しており、新しい技術や革新的なアイデアの開発に積極的に取り組んでいることを示しています。これまでに特許化された革新技術には、Zipstreamビデオ圧縮技術、露出制御用のTraffic Lightモード、設置を容易にするためのソリューションなどがあります。
特許プロセスを円滑で楽しく、そして効果的に
Axisでは、アイデアから特許取得までの道のりをできるだけ簡潔で分かりやすいものにすることをめざしています。R&Dエンジニア(発明者)は、簡単な1ページの発明提案書を提出することから始めます。これは複雑な書類やノルマを気にせずに、気軽にアイデアを提案できる方法です。その後、特許エンジニアが主導権を握ります。彼らは特許に関する複雑な手続きや法律の問題を扱い、調査、分析、記述、レビューを行います。これにより、発明者はアイデアの創出とイノベーションに集中することができます。
特許エンジニアが担当する主な業務は以下の通りです:
- ・アイデアの新規性を評価するための先行技術調査
- ・外部の特許弁護士との連携
- ・発明者を特許取得プロセスの法的側面で指導
有望な発明提案書のみに絞って特許出願することにより、Axisの特許登録率95%という驚異的な成果に貢献しています。発明者は年間で複数のアイデアを提出することが可能ですが、その全てが特許出願にいたるわけではありません。
1ページの発明提案書を高品質な明細書に変えるプロセスでは、発明者と特許エンジニアの密接な協力が必要です。まず特許エンジニアは発明者と面談し、発明の理解を深め、初期段階の先行技術調査を行うかどうか判断します。その後、IPチームが発明の内容について議論し、先行技術調査を開始します。調査結果により、特許化可能な部分と焦点を絞るべき点が明確になります。このプロセスは弁護士に引き継がれ、明細書の作成が行われます。その後、特許エンジニアと発明者がドラフトをレビューし、数回の修正を経て出願が完了します。
出願するイノベーションは、必ずしも大規模なブレイクスルーである必要はなく、むしろ、顧客に大きな影響を与えるような、賢く効果的な改善が求められます。全てのアイデアが特許になるわけではありませんが、発明提案書の提出は学びと進歩への一歩です。そして、特許が登録され、自分のアイデアが世界初のものであると知ったときの喜びは格別です。
めまぐるしく変化する世界で一歩先を行く
AxisのR&Dエンジニアと特許エンジニアは常に学び続けています。R&Dチームは最新の技術トレンドを把握し、未来に適した製品を開発することが求められます。一方、IPチームは発明提案書を受け取った後、数日以内に複雑な新技術を理解する必要があります。そのためには、継続的で密接な連携が欠かせません。定期的なディスカッション、ワークショップ、レビューを通じて、特許エンジニアとR&Dエンジニアはお互い知識を共有し合い、アイデアを磨き上げることで、優れたアイデアが見落とされないようにしています。

信頼と学びとチームワークの文化
IPチームとR&Dチームの協力関係は、互いの尊敬と共通の目標を基盤に築かれています。特許エンジニアは戦略的アドバイザーとして、R&Dエンジニアたちが初期段階のアイデアを洗練し、発明を特許化するための条件を明確化するのを助けます。この協力の文化は単なるプロセスにとどまらず、学び合い、知識を共有し、楽しむことを重視する会社全体の理念に根ざしています。
Axisでは、イノベーションは個人の成功だけでなく、チーム全体の成長や進歩を意味しています。IPチームも同様に、互いに助け合いながらR&Dエンジニアを支援し、力を合わせてAxisの独自性を守ります。
機会の開拓
世界中に広がるR&Dエンジニアとの連携は、地域ごとのイノベーションを把握する上で課題となることがあります。しかし、IPチームは各地域のチームに積極的に働きかけ、アイデアの提出がいかに簡単であるかを伝え、「特許マインドセット」を会社全体に浸透させています。彼らは新人向けの発明や特許に関するトレーニングセッション、講義、ワークショップ、イノベーションをテーマにしたイベントなどを通じて、R&Dエンジニアたちにアイデアを提出するよう奨励しています。さらに、毎年の発明者ディナーや特許セミナーは、創造的な同僚との交流の場となり、過去の特許成功例から刺激を受けたり、新たなコラボレーションを生み出す絶好の機会となっています。IPチームはまた、アイデアを多く持ちながらも提案するタイミングを逃している可能性のあるR&Dエンジニアに積極的にアプローチし、指導を行っています。
これらの取り組みは実際に効果を上げています。それは絶え間ないイノベーションを促し、素晴らしいアイデアが埋もれたり、提案のタイミングが遅れることを防ぐことができます。特許プロセスを誰でも利用しやすく、協力しあえる楽しいものにすることで、IPチームはAxisの創造力を最大限に生かせる環境を作り出しています。
Axisについて
監視ビデオ業界のリーダーとして、Axisは世界中のお客さまにセキュリティ、安全性、運用効率、ビジネスインテリジェンスを向上させる革新的なネットワークソリューションを開発・提供しています。Axisは1984年に設立され、スウェーデンのルンドに本社を構え、50カ国以上で約4,000人の従業員を擁しています。数千ものテクノロジーおよびシステム統合パートナーとの協力を通じて、Axisはよりスマートで安全な世界を実現することに尽力しています。

(2025年7月現在)