アトリ
スズメ目アトリ科 全長約16㎝
冬鳥として山地の林に飛来し、木の実を食べる。農地や住宅地で草の種子を食べることもある。小声で「キョキョキョ」と鳴き、「ジェーイ」と濁った声を伸ばすさえずりを交えることもある。静止時には胸のオレンジ色が、飛ぶと腰の白色が目立つ。
※鳴き声が再生されます。
今冬のアトリは多い?少ない?
年によって数が違うワケは?
冬鳥の中には、年によって飛来数に多い、少ないの差がある種が少なくありません。アトリもそのひとつで、多い年には空を埋めるような万単位の大群が見られることがあります。
そうした年には、春先の飛去前になると、神社や公園、庭先でさえ見られ、アキニレの種子を食べるために枝に鈴なりになったり、地面に散らばってケヤキの種子を食べたりします。一方、秋から春先まで、山地でさえほとんど見かけない年もあります。
野鳥は生存率が低いため、毎年春から繁殖を繰り返し、多くのヒナが育った年は個体数も多くなります。たとえ数が多くなった年でも、秋冬の気象条件や食物の状況によって越冬地を変えたり、移動を続けることもあるので、いつ?どこに?どのくらい?飛来するのかが不安定なのは、むしろ当然なことかもしれません。

春に擦れて黒くなる?
動物界の常識としてメスがオスを選ぶので、視覚中心に生きる鳥類では、オスが派手な姿になるのが普通です。アトリのオスも春が近づくと頭が真っ黒になり、胸のオレンジとのコントラストが鮮やかになります。
多くの鳥でオスは、地味な冬羽から綺麗な夏羽へと羽毛を抜け変わらせるのが一般的ですが、アトリ、オオジュリン、ノビタキは例外で、なんと表面が擦れることで綺麗になります。秋にまとった地味な冬羽の頭部、その羽、一枚一枚の根元が実は真っ黒です。春が近づく頃、その表面が摩耗することによって、元の黒い部分が表面に現れてきます。
ただし、アトリの場合、光沢のある美しい黒色になる頃には日本を去り、繁殖地であるロシアへと渡ります。
メスへの求愛は、その地で本番となるでしょう。












































































