カッコウ目カッコウ科 全長約27.5cm
カッコウに似ているが、少し小さい。夏鳥として5月中~下旬に渡来して、主にウグイスに托卵する。オスの鳴き声は「ホットトギス」とも聞こえ、「特許許可局」「てっぺんかけたか」などとも聞きなしされる。毛虫をよく食べるところや、メスの「ピピピピ」という鳴き声もカッコウに似ている。
鳴き声
※鳴き声が再生されます。
「目には青葉山ほととぎす初鰹」の句や、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の気質を表したとされる「鳴かぬなら……」などで有名なホトトギス。万葉の時代からもっとも多く歌に詠まれてきた鳥ですが、身近でも声が聞けることはご存知でしょうか。夏鳥で、オスは、南の国から繁殖地に向かう途中からさえずりだすことが知られています。ホトトギスの場合、都市部や住宅地で声が聞かれるのは5~6月中旬ごろまでに限られるうえ、夜に鳴くことが多いので、大きくてよく響く声でも気づかれないことが多いようです。
ホトトギスはウグイスの巣に卵を産んで、子育てさせる「托卵」という繁殖習性をもっていますが、托卵による繁殖は成功率が低いので、いくつものウグイスの巣に卵を産み落とさなくてはなりません。オスが大きな響く声でよく鳴くのは、複数のウグイスの縄張りを含めた広い範囲を自分の縄張りとして主張して、メスに選んでもらう必要があるからなのでしょう。
托卵するウグイスが茂った藪で繁殖することもあり、ホトトギスはあまり目立つところにはとまりません。しかしオスは飛びながらもよく鳴くので、明るい時間帯なら声を頼りに見つけられるかもしれません。近年、シカが増加して下草を食害することでウグイスが減る心配が出てきたので、ホトトギスの将来にも影響しそうです。
ところで、夏鳥の多くは東南アジア方面で冬を越していると考えられていますが、近年、ホトトギスは東南アジアにはあまりいないと考えられるようになりました。台湾など、冬もホトトギスがいるとされる地域はありますが、セイロン島や東アフリカ以外の越冬地はよくわかっていません。日本や中国には多くのホトトギスが夏鳥として飛来しますが、さて、いったい彼らはどこで冬を越しているのでしょう。