野鳥写真図鑑

イワツバメ

スズメ目ツバメ科 全長約13cm

絞り:F8|シャッタースピード:1/2000秒|ISO:500|露出補正:0|焦点距離:400mm|一眼レフカメラ(フルサイズ)|撮影地:富山県

ツバメより尾が短く、少し小さく見える。白い腰がツバメとの識別点になるほか、足指まで羽毛が生えていることや、集団で繁殖するという習性も異なる。ツバメより早い3月ごろに夏鳥として九州以北に渡来し、濁った声で鳴き、橋げた、学校、ホテル、駅などに集まって営巣する。

地鳴き

※鳴き声が再生されます。

集団好きの空飛ぶペンギン

都市化の歴史と類似種

ツバメがいつ頃から人家に巣をつくるようになったのかはよくわかっていませんが、イワツバメについては1938年発行の中西悟堂著『野鳥ガイド』(日新書院)で「山中の断崖に営巣するのが普通だが」に続けて、お寺や駅構内、温泉旅館などでの営巣事例が紹介されていました。1960年代以後は都市進出も見られ、近年は湾岸の倉庫などに集団繁殖するイワツバメもいます。ヨーロッパで繁殖する近縁のニシイワツバメは、19世紀のイギリスではすでに都市部に進出していたそうです。
足の指先まで白い羽毛に覆われているイワツバメを、「空飛ぶペンギン」と呼ぶ人もいます。ただ、飛んでいる時は指先まで見えず、腰が白い点はアマツバメ科のヒメアマツバメと似ているので、混同されることがあります。
イワツバメと同じツバメ科では、コシアカツバメが身近で見られる地域もありますが、コシアカツバメはツバメよりも尾羽が長いので、腰の色がわからなくても見分けられます。

イワツバメ 巣はツバメより深いどんぶり型。

イワツバメをすみかとするハエ

飛びながら飛んでいる虫を食べるツバメやアマツバメの仲間は、水を飲むのも水浴びも飛びながらなので、広い水面がないと生きていけません。彼らが水浴びを欠かさず行う理由の一つは、外部寄生虫対策です。鳥の寄生虫についてはまだ研究が進んでいませんが、ダニ類、ハジラミ、ノミ、ハエ類などが、その宿主ごとに多くの種に分化し、複雑に関係しあっていることだけは確かです。羽毛の余分な脂肪分を食べてくれることや、巣内の食べ残しや糞を分解するなど、鳥にとって有益な共生関係もあるようですが、ウイルスや細菌を媒介したり、吸血を行うなど、困り者も少なくありません。
イワツバメの血を吸うシラミバエは、冬にイワツバメの古巣内でさなぎの状態で過ごし、イワツバメが飛来する頃に成虫になります。このシラミバエはオスが存在せず、メスしかいません。繁殖もメスのみで行います。しかもメスの体内で卵が幼虫になり、さなぎ直前まで留まるという不思議な生態のようです。

イワツバメ 上から見ると白い腰が目立つ点ではアマツバメの仲間に似ているが、ツバメ科に共通で下面は白っぽい(アマツバメ科は黒っぽい)。
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