野鳥写真図鑑

ケリ

チドリ目チドリ科 全長約36cm

絞り:F8|シャッタースピード:1/1250秒|ISO:400|露出補正:0|焦点距離:158mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

中国やモンゴルの一部で繁殖し、中国南部などで冬を越す。日本では東北から近畿の水田で繁殖するほか、各地の湿地で春や秋に見られることもあり、冬を越すものもいる。飛ぶと白と黒のコントラストが鮮やか。「キッ、キッ、キリッ」などと鋭い声で鳴く。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

限られた分布、大型チドリの共通点

なぜか東海地方に多い

関東に住んでいる野鳥好きのなかには、東海道新幹線などで関西方面に出向くことを楽しみにしている人が少なくないはず。筆者もその一人ですが、東海地方の水田地帯を通過するときにケリがよく見られるからです。飛ぶとツートンカラーで遠方からでもよく目立ち、繁殖期以外は10羽前後の群れで飛ぶことが多いので、超特急で走っている新幹線からも、肉眼でケリとすぐにわかります。
日本で見られるチドリ科では最大ですが、地上にいると白色部が腹の一部だけしか見えないので案外気づきにくく、東海地方以外では局地的で、季節も限られることが多いようです。

ケリ ハトくらいのサイズで脚が長い。地上でじっとしていると意外にめだたないのは、チドリ科に共通している。歩いたり、飛んだりすると、その動きで存在に気づく。翼や下面に白い部分が多いため、特に飛翔時は鮮やかな翼が目立つ。

親指の有無と、名前の由来

鳥類の多くは前向き3本、後ろ向き1本の三前趾足(さんぜんしそく)ですが、チドリは「趾(あしゆび)が3本しかない」と書いてある図鑑もあります。確かにコチドリなどチドリ科の小型種は後ろ向きの趾(第1趾(し)。後趾(こうし)とも呼ばれ、人では親指にあたる)がないのですが、ケリやタゲリのような大型種は小さいながら後ろ向きの趾があります。

ケリもコチドリのような擬傷が観察されたことがありますが、ケリが多い東海地方では繁殖期は気性が荒い鳥と言われていて、巣に近づくカラスや犬、人にさえ上空から急降下して威嚇することがあります。その際、「キッ、キリッ」などと聞こえる声はより鋭くなり、この鳴き声が「ケリ」という名の由来とされています。

タゲリ ケリと同じ大型のチドリのなかまであるタゲリは、ヨーロッパに広く分布していて、日本では冬鳥(全国的で、広い農耕地に多い)。美しく輝く背面やおしゃれな冠羽から「貴婦人」とも呼ばれるが、地上にいるときは意外と目立たない。「ミー」と猫のような声で鳴く。
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