野鳥写真図鑑

オナガガモ

カモ目カモ科 全長オス約75㎝ メス約53㎝

絞り:F5|シャッタースピード:1/1600秒|ISO:200|露出補正:0|焦点距離:195mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:三重県

冬鳥として9月から全国の湖沼に飛来する。秋の深まりとともにオスは胸が白く、背がグレーになり、年末近くになって尾が長く伸びる。冬には「プルッ、プルッ」とコガモよりやや低い声を発するようになるが、メスは「クエー」と他のカモ類同様に地味な声で鳴く。

オス
メス

※鳴き声が再生されます。

オスの長い尾はモテる秘訣!?

尾が長いワケ

コガモに次いで早く渡ってくる冬鳥で、9月中旬には飛来がはじまります。ただ、飛来当初はオスが地味な姿なので気づかれにくいことでしょう。冬にオスが求愛してペアになるというカモ類の変わった習性はコガモマガモでも解説していますが、マガモ、オシドリは秋から、カルガモ(カモ類の例外でオスが派手にならない)以外のカモたちは晩秋からオスが衣替えして美しい羽をまとい、厳寒期に求愛ダンスが始まります。

オナガガモのオスでは11月には一見綺麗になってきますが、求愛はまだです。何故なら名前の由来である尾がまだ伸びていないはずで、年末年始にかけて尾がピンと伸びてくると、いよいよ求愛ダンスが始まります。長い尾を使ったダンスがないとメスは選んでくれないのでしょう。

オナガガモ飛来当初のオス 冬の求愛シーズンに向けた派手な姿になっていないので、メスのように見えるが、くちばしを見ると黒い部分が少なく、明るいグレーをしていることでオスとわかる(メスはくちばし全体が黒い)

首が長いワケ

オスが地味な時期でも、オシドリで解説したようにくちばしの色で雌雄がわかります。メスのくちばしは黒一色ですが、オスでは明るいグレーが目立ちます。また、オナガガモを見分けるには雌雄共通の体型にも注目してみましょう。スマートな体型で体も首も他のカモ類より細長いのが特徴です。

高病原性鳥インフルエンザの懸念から、近年、給餌が控えられるようになりました(給餌による集中で感染リスクが高まるため)。
そのため、給餌をしなくなった湖沼では「オナガガモが減った」という声をしばしば耳にします。過去には給餌を始めたらオナガガモが増えたことが多かったので、何か関係があるはずです。きちんとした研究はされてはいないようですが、考えられるのは首の長さ、人が餌を投げて水面に広がった餌を競って食べるには長い首が有利なのではないでしょうか。

オナガガモの求愛ダンス オスは首を反らすように頭を高く挙げて、尾を真上に跳ね上げるようにして、メスにアピールする
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