シマエナガ
スズメ目エナガ科 全長約13.5cm
くりくりな目がよく目立つ白い頭
縞がないのにシマエナガ?
縞模様がないのにシマエナガと呼ばれるのは、「シマ」は「縞」でなく「島」、生息地の北海道からついた名前だからです(フクロウ科のシマフクロウも同じ意味の命名です)。
本州の亜種エナガ、九州・四国のキュウシュウエナガ(わずかに小さく、尾が短い傾向がある)、対馬のチョウセンエナガ(わずかに大きく、尾は長い傾向)の模様はどれも似ていて、目の上から後方にかけて黒色部が縞のように続き、採集して細部を計測しないことには亜種まで識別するのは難しいとされています。ところが、シマエナガだけは顔が真っ白なので簡単に亜種までわかるうえに、黒い目だけが目立つのでよりいっそう可愛く見えます。
他の亜種も同じですが、林で群れていることが多いので、「ツリュリュ」という声で気づくことができれば何羽も見ることができます(ただし、群れの行動圏の外ではまず見られないということにもなります)。
亜種の識別や問題
「種」は分類の基本単位とされ、その定義とされる遺伝的独立とは、「種が違うと交雑しないが、同じ種同士では子孫を残すことができる」というものです。同じ種でも地域によって大きさや色などに違いがある場合に「亜種」として区分しますが、採集して計測した結果として違いが認められた亜種などは、見た目ではわかりません。
コゲラでは、北海道の亜種エゾコゲラは本州などの亜種コゲラと比べてみるとやや色が淡い傾向はありますが、個体差もあるうえに、野外では明るいところと暗いところなど、場所によっても違って見えることもあるでしょう。
キジでは、亜種の区分に見直しが必要になってしまいました。北海道などに人為的に移入された大陸系のコウライキジは色の違いで見分けられますが、亜種キジ(本州北部など)、亜種トウカイキジ(本州中部など)、亜種シマキジ(伊豆半島など)などはもともとわずかな違いしかなかったうえに、人為的な放鳥による亜種間交雑などもあって、見分けられないどころか、区分できない状態になっているという指摘がされています。