シメ
スズメ目アトリ科 全長約19cm
多くは冬鳥として各地の林に飛来し、庭や公園でも見られ、北海道など北日本の一部で繁殖する。スズメより少し大きく、太いくちばしや短い尾が特徴で、波状飛行する。地鳴きは、細い声で短く不規則に鳴く。シメのさえずりは、地鳴きとの区別がつきにくく、春には繰り返し続けて鳴くことがあり、これがさえずりらしい。
※鳴き声が再生されます。
太いくちばしのチャンピオン
太ってる?
シメは本州以南の低地では、11月頃飛来します。単独で木の上のほうにいることが多いために見過ごされがちですが、飛ぶと気づきやすくなります。距離があって大きさが分からなくても、風切羽の白い帯が目立ち、ヒヨドリのように大きな波を描く飛び方をするのに、ヒヨドリより尾が短いことで、シメだとわかります。冬になると木の実が下に落ちるためか、地上にも降りるようになり、群れでいることもあります。
野鳥は、角度や状況によって見え方が違うことがあります。例えば、寒いときや弱っている場合に、羽を膨らませて太って見えることがありますし、太めの鳥でも警戒して首をのばしたときなどに細く見えることもあります。ただ、シメはスズメの倍くらいの体重で50gほどあり、いつでも太めに見えます。ちなみにスマートなキセキレイはシメとほぼ同じ全長約20cmですが、体重はスズメより軽く、20gほどしかありません。
太いくちばしのワケは?
多くの小鳥は木の実を食べる際、細いくちばしでくわえて丸呑みにし、タネをフンで出して、種子散布に貢献しています。カワラヒワの解説で、「太めのくちばしでタネを食べる小鳥は、野鳥では主流派ではない」と書きました。シメは非主流派の中でも、くちばしの太さではチャンピオン。私たちがリンゴをガブリとやるときと同じくらいの、およそ50㎏に及ぶ力で、固いタネもかみ砕くことができます。
庭や公園にエゴノキがあると、ヤマガラやシメがその実を食べに訪れます。コーヒー豆に似た固い種子は、人の指ではとても割れません。ヤマガラは足指でタネをおさえてから、くちばしで何度もつつくのですが、その際、トン、トンと音が聞こえることからもタネの固さがわかります。シメはそのタネをくちばしで割って食べるのです。